ゴルフ界には昨年来続いているディベートがある。多分これからもマスターズの季節になれば繰り返されるような議論・討論なのだが……。
それは「1986年と2019年のどちらがすごいマスターズだったか?」というもの。言い方を変えれば「ジャック・ニクラスとタイガー・ウッズのどちらが劇的な復活劇を見せたか?」ということになる。
総じてニクラスの現役時代を知る世代は1986年に思い入れが強いようで、それよりも若い世代はタイガーの復活劇を支持する。タイガー本人によれば「彼(ニクラス)が勝ったとき、彼は46歳で、私は43歳だ。ただ、彼は最後にメジャーに勝ってからのブランクは6年だったが私は11年。どちらかなんてみんなで決めてよ」とのこと。
最終日の劇的な展開という点では、86年のニクラスのほうに分があるだろう。4打差を追いかけるニクラスは15番でイーグル奪取に成功すると16番ではほとんどエースと言えるショットを披露し、17番ではのちにちょっとしたブームになったデカヘッドのパターでボールをカップにねじ込んでのバーディ。インを30で回ってメジャー18勝目を挙げた。とはいえ、ニクラスはこれに先立つ7試合で棄権・予選落ち4回。それだけに大会ではほぼノーマークの状態で、ギャラリーも少なければ、プレッシャーもさほどなかったはず。それに対してタイガーは、知ってのとおり前年のツアー選手権に優勝しており、期待度が高く大ギャラリーを引き連れてのプレー。プレッシャーも大きかった。最終日のスコアは70と際立つものではなかったが、ライバルたちがミスをして脱落していったのはニクラスの時と同じだ。むしろさまざまな故障とメンタル面での不調を克服してのプレーは、もちろん高く評価されて然るべき。
この雑誌が出るころは2020年のマスターズの結果が出ているわけだが、1986、2019と並ぶようなレジェンドイヤーになるだろうか。
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