淺井咲希50センチを2メートルオーバー。何があった?
 

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週刊ゴルフダイジェスト 2019/09/17号
2019/09/10更新

淺井咲希50センチを2メートルオーバー。
何があった?

 黄金世代の淺井咲希がCATレディースで悲願の初優勝。最終日、最終ホールで淺井を苦しめたのは50センチのパット。さて、彼女の体の中でどんなことが起きていたのだろう。

 最終日の18番グリーン。2打リードで迎えた淺井は最初のパットを50センチにつけた。難なく入れて2打差のままの優勝と誰もが信じたが、このパットが約2メートルもオーバー。返しのパットは沈め、事なきを得たが、その前の50センチのパットは本人も語ったとおり、傍目にも「パンチの入った」パットだった。

 最終ホールでの50センチパットといえば1988年の日本オープンを思い出すオールドファンもいるだろう。ジャンボ尾崎が50センチのパットを入れれば逆転優勝というシーン。アドレスに入った尾崎は打つと思われたその瞬間、アドレスを解き、麻痺したかのような右腕を振り、血流を促すような仕草を2度もした。このときは、尾崎はこのパットを決め、日本オープン2勝目を手中にしたが、国内100勝もする名手であってもこれだ。

 金縛りにあったような状態……。これを医学的に分析するのは順天堂大学医学部の小林弘幸教授。教授は自律神経研究の権威で、横田真一プロとの著書もあり、ゴルフにも造詣が深い。「決めるぞと思いすぎると交感神経が強く働き、どうしてもパットも強く打ってしまう。淺井プロのケースはまるでイップスのようでしたが、これは典型的な交感神経優位の、一種のパニック状態です」

 自律神経とは、呼吸や血圧、内臓の働きを生存のために無意識のうちに調整しているシステム。心身を活動モードへ切り替えるアクセル役の交感神経、心身をリラックスさせて休息モードにするブレーキ役の副交感神経と対照的な2つの系統で成立している。緊張で交感神経が優位になると、血管は縮み、指先まで血流が巡らなくなる。淺井の2パット目がそうだったと同教授は推察する。ならば副交感神経を優位にするためには? 「呼吸を整えるしかありません。笑顔もいいでしょう」とのことだ。

  
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