出版不況の折になぜ!?廣済堂TOB
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2019/05/21号
2019/06/06更新

出版不況の折になぜ!?
廣済堂TOB

 かつて国内7コース、海外15コース(建設途上1含む)を保有した廣済堂に、米国系ファンドのベインキャピタルと村上世彰氏率いるレノが、株式公開買付け(TOB)を実施し、買収を仕掛けたが、ベインは断念。レノも失敗の可能性が濃厚だ。

 廣済堂は本業の印刷事業が出版不況のあおりで大幅縮小。ゴルフ場事業も借入金を減らすため、2003年頃から順次売却を進めて大幅に縮小、現在グループ内で運営しているのは、栃木のトムソンCCだけ。今ではグループ全体の売上高はピークだった2001年当時の半分、営業利益は3分の1以下だ。ちなみにトムソンCCは通常営業しているが、会員に半永久的に預託金の返還をしなくて良い「永久債」に切り替えてもらえるよう交渉中で会員全員からの了承は得られていない。

 そんな会社の買収になぜ、ベインやレノが乗り出したかというと、グループ内に火葬場事業を手掛ける東京博善という超優良子会社があるからだ。火葬場は普通自治体が運営しているが、東京の場合は特殊で、23区内に9カ所ある火葬場のうち、民間経営が7カ所あり、そのうち6カ所が東京博善の火葬場。23区内の火葬需要の7割を手掛けている。火葬場が今後23区内に新設される可能性はほぼゼロに等しい。そんなドル箱子会社を持つ廣済堂に、ベインがつけた買値が安すぎるとして、レノが参戦。ベインが始めた株式の公開買付け価格を上回る価格でレノも公開買付けに乗りだしたため、ベインの公開買付は失敗に終わった。もっとも、レノはベインの公開買付けをつぶす目的で公開買付に乗りだしたので、レノの買付価格も安く、5月18日に期限が来るレノの買付けも必要応募数には達しない可能性が高いが、それは想定内。次の一手に注目が集まる。

 政財界に強力な人脈を誇った創業者・桜井義晃氏が亡くなって今年の秋で15年。自分が起こした会社が、ファンドとモノ言う株主との一騎打ちの舞台になったことに、草葉の陰で驚いているに違いない。

  
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