審判は自分!自己申告でチャンスをフイにした正直者たち
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2016/05/24号
2016/05/20更新

審判は自分!自己申告で
チャンスをフイにした正直者たち

 ゴルフは「審判は自分」という唯一無二の特徴を持つ。「自己申告」は、そんなゴルフの精神性を示すものだ。

自己申告で2位になった翌年に優勝したシンプソン

 先月のパナソニックオープン2日目、上がってきたケーシー・オトゥール(米)は「18番で、バンカーショットのバックスウィングで、クラブでヒールが砂に触れたかもしれない。VTRで確認してほしい」と申し出た。しかし、同伴競技者の高山忠洋、競技委員を交えて映像を見ても触れた様子は確認できなかった。それでも本人は「疑わしいと自分が思う状況で、これ以上プレーは続行できない」と、砂に触れた罰則の2打罰を受け、予選通過はならなかった。同じような自己申告の例は少なくない。

 1982年、全米女子オープンではベス・ダニエルが「アドレスした時にボールが動いた」と申告し罰打を受け、優勝のチャンスを逃し、2位タイに。2011年の全米オープンでもウェブ・シンプソンが「ボールが動いた」と申告。2位に甘んじた。この時、競技委員としてシンプソンについていた川田太三氏は「リスペクトします。このことはゴルフの神様が見ていて必ず返してくれますよ」と声をかけたという。翌年、彼は念願の全米オープンを制した。

 昨年も米ツアー2戦目で、ベン・クレーンは2日目の朝、「昨日、ハザードから打ったのかもしれない」と競技委員に告げた。疑義を抱きながら一晩過ごしたという。協議の結果、クレーンは「ハザードでソールした」となって、競技失格となった。今年ならば、弊誌でもたびたび伝えている新ルールによって救われたのだが……。

 しかしなんといっても、「自己申告」でいちばん有名なのは1925年、全米オープンでの球聖ボービー・ジョーンズのそれだろう。深いラフで誰もいないなかで「草か風か、動いたような気がした」と同伴競技者に申告。1打罰で首位に並ばれ、プレーオフで敗れた。当時の新聞・雑誌はこれを賞賛したが、 ボビーは「スコアをごまかさなかったのをほめてくれるのは、銀行強盗をしなかったとほめてくれるようなものだ」と応じ、ゴルフが精神性の高いスポーツだと知らしめた。

 オトゥールの行為も、"ゴルフの神様"が見ていて、きっと"返して"くれるはず。

 
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