週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 6/3号
2014/5/27更新

リンクスの面影残す茅ヶ崎GC閉鎖へ
次々と惜しむ声

 日本において、英国・リンクスの薫りを色濃く残す茅ヶ崎GC(9ホール)が来年3月をもって閉鎖されることが決定した。

 同コースは昭和32年開場、造成は戦前から数多くのコースを手がけていた安達建設。横須賀市の要請によるものだった。ただ用地は完全借地で神奈川県が60%、地元の茅ヶ崎協同が40%所有。これが今回の閉鎖の主要因となった。数年前から年間1億円の地代が経営を圧迫し、同コースは賃貸料引き下げを要請してきたが、茅ヶ崎協同とは24年以降の賃貸借契約の更新ならず。県とも賃料減額調停が24年7月で不成立。

「賃料が高止まりしている原因である市街化区域の解除を行政に要請しましたが、不可能との結論。今後、現行の地代での土地利用が極めて困難として、来年からの閉鎖を余儀なくされたわけです。私達としても断腸の思いです」(茅ヶ崎GC支配人・吉見哲生氏)

 会員への説明会は2年前から行われ、今年も4月に行われた。会員からも惜しむ声が多かったという。

「私はウェブ会員ですが、このコースが好きで月2回ほどプレーしてきました。海風に耐えた"傾き"黒松、富士が正面に見えるロケーションなど実に味わいがあります。深く広いバンカーなどが特徴の名匠・上田治の作品は関東では少なく、その意味でもぜひ残して欲しかった……」とは、リンクスへの造詣も深いゴルフマナー研究家の鈴木康之氏。

 設計家の上田治は京都帝大農学部出身で、水泳・背泳ぎで日本記録も樹立しオリンピックへも関わった文武両道の人。上田は廣野GC、もう1人の名匠・井上誠一は霞ヶ関CCでC・H・アリソンの造成助手として参加している。上田はその後、大阪GC淡輪(たんのわ)、古賀GCなど関西以西のコースを数多く設計し、「東の柔の井上、西の剛の上田」と称されるゆえんだ。茅ヶ崎GCは関東の貴重な上田作品といえる。

「近年は宅地が迫り、1番が変則ティショットになったり、6番の上田畢生(ひっせい)の名物バンカーが埋められるなど僕らは嘆いておりましたが、それでも残して欲しかった」(鈴木氏)閉鎖の跡地は住宅造成がほぼ決まっていて、コース復活の確率はゼロだという。こうなれば一般ゴルファーにも開放して欲しいものだが……。

「会員全員に納得していただいてからその開放策も検討したいと思います」(吉見氏)

 閉鎖が決定しているのならせめて一度はラウンドしてみる?



黒松に囲まれた上田治の意匠あふれる名コースも来年3月で閉鎖となる

 
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