孔雀のように舞い、電話ボックスで振る!記憶に残る男サンダース逝去
 

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週刊ゴルフダイジェスト 2020/5/12_19号
2020/5/25更新

孔雀のように舞い、電話ボックスで振る!
記憶に残る男サンダース逝去

「ピーコックファッション」と「テレフォンボックススウィング」、米ツアーで一世を風靡した洒落者が逝去した。

モノクロ写真で恐縮だが、ベルト一体型のパンツに注目。おしゃれ!

 ダグ・サンダース。米国ジョージア州出身でフロリダ大在学中の1965年、カナダオープンでアマチュアながら優勝。翌年からツアー参戦。

 まず注目が集まったのは、その出で立ちとスウィングのユニークさ。原色のウェアを身にまとった姿の華やかなことといったら……。サンダースが来日した折、筆者も取材したが、ゴルフシューズの鮮やかなパープル(紫)が今でも目に焼きついている。ゴルフ靴は350足以上あると豪語し、ついたニックネームが「ピーコック(孔雀)ガイ」。ギャラリーの話題はダグのスコアではなく「奴さん、今日は何色だったかい?」だった。ダグのファッションはただ派手なだけでなく、小顔、スラリとした体型で着こなして一種の優雅さがあった。日本でも腕がたっぷりとしたアルパカ生地のカーディガンを流行らせ、73年にはエスクァイア誌でアスリートベストドレッサーベスト10に名を連ねた。

 スウィングはスリークォーターでトップが肩の位置、フラットにクラブが電光石火に下りてくる。名づけて「電話ボックススウィング」。それほど“小さい"スウィングは、背骨に問題をかかえたダグが独自に編み出した打法だった。

 ツアー20勝、シニア1勝。悔いが残るのはメジャーでトップ10が13回、2位が4回あるも、優勝できなかったことだ。59年全米プロ、61年全米オープン、66年、70年は全英オープンで2位。もっとも臍ほぞを噛んだのは70年の全英。最終日、最終パット70センチを外して翌日のプレーオフへ。相手は帝王ニクラス、1打差に涙を飲んだ。その最終パットは「ゴルフ史上、もっとも有名なショートパットの痛恨」と評された。記録もだが、それ以上に記憶に残る選手だった。享年86。合掌。

 (編集委員・古川正則)

  
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