2019 10大ニュース
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2020/1/21号
2020/02/03更新

2019 10大ニュース

2019 10大ニュース

しぶこ全英女子制覇
➀ シンデレラ誕生日本中が大フィーバー

大ブーム!

渋野日向子が全英女子オープンで樋口久子以来42年ぶりの日本人メジャー制覇を達成。ラウンド中笑顔を絶やさぬ渋野を欧米メディアは“スマイリングシンデレラ"と命名。快挙をあっさりやってのけた20歳を出迎えたのは盛大な“しぶこフィーバー"だった。

 プレーはもちろんラウンド中の屈託ない笑顔、子どもたちへの対応、緊迫した場面でも観る者を和ませるもぐもぐタイム。どんなに注目されても自然体の渋野に魅せられたギャラリーが女子ツアーの会場に押し寄せ、テレビ中継の視聴率も彼女に左右されるほど。その人気はゴルフ界を超え年末年始のバラエティ番組にも引っ張りだこだった。

 かつての藍ちゃんフィーバーを思い出すが、2人の雰囲気がまったく違うのも面白い。優等生的な発言の多かった宮里に比べると、渋野はコメントも実にオープンで、それが人気の理由にもなった。

 19年は快挙の連続だったが勝負はここから。20年は東京五輪出場、賞金女王を目指しさらなる飛躍が期待される。

PGAツアー日本初上陸
➁ 「ZOZO」に空前の大ギャラリー"満員御礼"

 「潜在的ゴルフファンがこれほどいるとは」。関係者が感慨深げにつぶやいたのは、日本ではじめて開催されたPGAツアー公式戦ZOZOチャンピオンシップのこと。

 あいにく台風の影響で無観客となった日もあったが、高額チケットが飛ぶように売れ悪天候だった練習日にさえ1万人以上のギャラリーが押し寄せ「こんなに熱心なファン見たことがない!」とジョーダン・スピースが驚いたほどだった。

 その熱気に応えたのが千両役者のタイガー・ウッズ。8月のBMW選手権以来2カ月ぶりの実戦。しかも、ひざの内視鏡手術を受けてほどないタイミングでの出場にもかかわらず初日からトップを走り完全優勝。松山英樹やローリー・マキロイの追撃をかわしサム・スニードが持つツアー最多勝利に並ぶ82勝目を獲得した。

 「タイガーが勝ってヒデキが追い上げて2位。最高の大会だったね」とマキロイも最高の結末と大会の成功を喜んだ。

この流れが低迷する日本男子ツアーに良い効果をもたらすか……?

タイガー、マスターズV
➂ 全米ならぬ世界が大復活劇に泣いた!

 2019年、記憶に残るゴルフニュースナンバー1候補にタイガーの11年ぶりメジャー制覇は外せない。

 世界中のファンが泣いたスポーツ史上最高の復活劇の舞台は、22年前21歳でメジャー初制覇したマスターズ。オーガスタの杜に大歓声がこだまし、独特の熱気に包まれるなか、タイガーはサンデーバック9でブルックス・ケプカやダスティン・ジョンソンら実力者をねじ伏せ、1打差で勝利をもぎ取った。

 メジャー戴冠は、08年に痛めたひざをかばいながら91ホールの死闘を戦い抜いた全米オープン以来。以降ひざにとどまらず腰、手首と満身創痍。わずか2年前には「もう2度と競技に戻れないかもしれない」と自身で引退を示唆。しかし、18年4度目の腰の手術が成功すると、本人も思った以上の回復ぶりで19年4月、至福のときを迎えた。

 07年、勝った息子タイガーをしっかりと抱きとめた父アールさんはもういない。代わりにタイガーは同じ場所で息子と娘を抱きしめ「彼らが喜んでくれて父親としての役割を果たせた。最高だ!」と喜びを爆発させた。

男女でアマチュア優勝
➃ 金谷拓実と古江彩佳プロツアーでV飾る

 19年ツアー後半戦は、男女ともにアマチュアの活躍が話題になった。

 10月の富士通レディースで19歳の古江彩佳が史上7人目のアマV。古江は11月に最終プロテストを受ける予定で富士通がアマとして出る最後の試合だった。結局、この優勝でテスト免除になりプロ転向。11月の樋口久子三菱電機レディスからプロとして参戦。最終戦のリコーカップでは、渋野日向子と並び2位タイに食い込む活躍で、優勝がフロックでなかったことを証明した。

 男子では、11月の三井住友VISA太平洋マスターズで東北福祉大3年の金谷拓実が優勝。男子ツアー4人目で松山英樹以来8年ぶりの快挙だった。17年には日本オープンで優勝した池田勇太に金谷は1打及ばず単独2位でローアマに輝いた。また18年アジアアマ優勝の資格で19年マスターズに招待された。同大会ではローアマ争いを演じるも、最終日に78を叩き58位となって及ばなかった。

 アマV即プロ転向した古江とアマとして戦い続ける金谷。2人は2020年にどんな活躍を見せるか。

女子若手が大活躍
➄ 黄金世代が12勝。プラチナ世代がプロへ

 女子若手が大活躍19年は「黄金世代」がもはや“次世代"を担う存在ではなく、ツアーの主役に躍り出たシーズンだった。

 その象徴が渋野日向子で、海外では全英女子オープンで優勝、国内でも4勝を挙げ、実質ツアーデビューの年ながら賞金ランクは鈴木愛に次ぐ2位となり、まさにツアーの主役となった。

 19年シーズンの黄金世代の優勝は39試合中12試合。内訳は、その渋野の4勝を筆頭に、勝みなみと畑岡奈紗が各2勝、河本結、原英莉花、小祝さくら、浅井咲希らがそれぞれ1勝をツアー初優勝で飾っている。そして、19年シーズンは優勝にあと一歩の2位に泣いた吉本ひかる、高橋彩華らが初優勝を狙うなど、黄金世代は多士済々だ。

 さらに、黄金世代の2つ下、2000年度生まれの「プラチナ世代」からは古江彩佳がアマチュア優勝を果たしてプロ転向。さらに、オーガスタ女子アマ2位、アマとしてツアー10戦連続予選通過記録を持つ安田祐香のほか、吉田優利、西村優菜ら〝金の卵〟がたちがプロテストに合格し、2020年には「プラチナ旋風」が早くも吹き荒れることも予想される。

石川遼、3年ぶり勝利
➅ ツアー3勝の大活躍。賞金ランキング3位に

この人が勝たなきゃ!

 石川遼がツアー3勝を挙げ、賞金ランクも3位に。2018年の22位から一気にランクアップした。

 7月の日本プロ。最終日に首位と4打差の6位からスタートした石川は、66の猛攻でハン・ジュンゴンとともに首位でホールアウト。プレーオフをイーグルで締めくくり、3年ぶりとなる劇的な優勝を国内メジャーで飾った。19年の春先、腰痛が悪化し、5月の中日クラウンズでは、石川自身初となる途中棄権。賞金シードが守れるかどうかは、カシオワールドまでもつれるのではないか、という思いも石川の頭をよぎっていたという。

 日本プロから7週間も試合がなかった男子ツアーは、8月のセガサミーカップで再開。石川は完全優勝を果たし、賞金ランクトップに立った。結局、賞金王には届かなかったものの、最終戦の日本シリーズでもプレーオフを制して優勝。石川の生涯獲得賞金額は10億円の大台を突破。28歳82日での達成は、池田勇太の31歳269日を抜く史上最年少記録になった。

今平周吾、連続賞金王
➆ 2勝でキングに……本人は不満顔も

 今平周吾が18年、19年と2年連続で賞金王の座についた。27歳67日での連続賞金王は、ジャンボ尾崎の27歳318日の最年少記録を更新するものだ。

 しかし、今平自身は「2勝で終わったが3勝以上が理想」とすっきりしない顔。今平はシーズン当初から賞金レースのトップを走り続けていたものの、なかなか勝てず、10月のブリヂストンオープンで勝つまでは「1勝もしないで賞金王になるのでは」とささやかれていたほど。それでも9月のパナソニックオープン2位で賞金ランク首位に立つと、一時その座を明け渡す場面もあったが、すぐに取り戻し、追いかけるショーン・ノリスを振り切った。その時点での世界ランキングは32位。50位以内というマスターズ出場の権利も手にした。

 今平が勝った試合は、悪天候で36ホールに短縮されたブリヂストン、同じく54ホールに短縮されたダンロップフェニックスの2試合。すっきりするためにも、勝ち星を増やすことが今平の課題だろう。

賞金女王は鈴木愛に
➇ しぶこ、シン・ジエとのデッドヒート制す

 女子ツアーの賞金女王争いは鈴木愛、シン・ジエ、渋野日向子の3つ巴の争い。

 鈴木は開幕2戦目で優勝し、良いスタートを切るも、4月に2勝を挙げたジエが終盤までレースを引っ張る。このジエと鈴木との間に入り“波乱を巻き起こしたのが渋野日向子。5月のサロンパスカップに続き全英女子オープン優勝で、中盤から後半にかけツアーの主役となった。

 一方、鈴木はケガに悩まされた。4月初頭に左足首、その月の末には交通事故による背中痛と腰痛、9月終わりからは左手親指痛により、日本女子オープンを含む4試合を不出場。この時期の鈴木はメンタル的にも厳しい状況で、その回復のためにもあえて1カ月の休みを取った。結果的にこの策が奏功。鈴木はツアー復帰2戦目から3試合連続優勝を果たし、11月の伊藤園レディスでジエを抜きランクトップに。次戦、エリエールで渋野が優勝し、最終戦での大逆転劇の可能性もあったが鈴木が逃げ切り2年ぶりの賞金女王に輝いた。

大改訂の新ルール施行
➈ 日本ツアーでは混乱はほとんどなし

 19年1月1日から新ルールが施行されたが、プロツアーでは意外と混乱は少なかった。

 女子ツアー初戦、ダイキンオーキッドで濱田茉優は球を探す時間が「3分」を超えたのに、プレーを続行して失格の憂き目に。旧ルールでは球を探す時間は「5分」だったが、新ルールでは「3分以内に見つからない場合は紛失となる(規則18・2a)」に変更されていた。さらにこのケースは紛失球になった球を打ったため「誤所からのプレーの重大な違反」として失格に。男子ツアーのセガサミーでは、谷口徹は球探しで3分を過ぎた頃、見つかってそのままプレーしたが、「3分を過ぎていたのでは」と懸念し、棄権した。「新ルールはシンプル化を目指し、これが機能し成功した。ツアー後半は、全く混乱なし。旧ルールは修正、例外を作りすぎで煩雑になりすぎていた」とはルール研究家、小山混氏の意見だ。

相次ぐ台風でダメージ
➉ 関東、甲信越中心にコースに被害が……

 19年の秋は台風や大雨で各地に被害が出たが、ゴルフ場も例外ではなかった。

 とくに10月の19号では河川敷コースに大きな影響が。残念なのは荒川沿いの新東京都民ゴルフ場の閉鎖。かつて青木功がキャディとして勤め、近年はデビューコースとしても支持されていたのだが……。川口パブリックゴルフ場は2020年春オープンを目指して復旧作業をするなど、2シーズンを棒に振るしかなかったコースもある。

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