15年前、両親と恋人を亡くした男が補欠3番手からミラクルV
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2019/07/23号
2019/08/21更新

15年前、両親と恋人を亡くした男が
補欠3番手からミラクルV

 まったくもって無名、ネイト・ラシェリー。ロケット・モーゲージ・クラシックで36歳にして米ツアー初優勝を飾った男の物語。

 後続に6打差をつける圧勝劇を演じた遅咲きの苦労人は表彰式でトロフィを掲げながら“あのとき"のことを考えていた。

 15年前両親と恋人を失った不慮の航空機事故。初日からトップを走り完全優勝を飾った人生最良の瞬間にも“あのとき"の悪夢がつきまとう。トロフィの感触を確かめ現実に思いを引き戻す。「(事故の後)なにも考えられなかった。現実じゃないみたいだった。両親がいてくれなかったらゴルフもしていない。感謝している」

 8歳でクラブを握ったのは両親の故郷・ネブラスカ。やがて彼はアリゾナ大の主力選手になる。21歳のときNCAAの大会に両親と恋人が故郷から応援に駆けつけてくれた。その帰路、3人は事故で還らぬ人となった。

 失意のラシェリーは卒業してプロに転向するもうまくいかず、不動産の営業で糊口をしのいだことも。クラブを置いた時期すらある。だがここ3、4年はミニツアーなどで結果を出し、昨年PGAツアーに参戦。

 今回は補欠の3番目から出場権が繰り上がり、大会直前に出場が決まった。「調子が良かったから、出られたことは本当にラッキーだった」

 するとぶっちぎりのリード。生涯初めて大ギャラリーとカメラの放列の前でプレーした。「最高の物語ですよね。最後の切符をつかんだ男が優勝。試合に出られるだけでうれしかったのに、夢が叶うなんて」とラシェリー。15年前同じ苦しみを味わった姉は「数日前は誰も彼のことを知らなかった。奇跡です」と涙。

 小欄では最近、期待されながら11年も勝てなかったチェズ・リービー、最終日にめっぽう弱いタチでありながらメジャーを獲ったゲーリー・ウッドランド、一時クラブを置いたもののチャンピオンズツアーで初勝利を挙げたケン・タニガワなど、数々の“諦めない男"を紹介してきた。すべてがリアルストーリー。勇気をありがとう!

  
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