ゴルフ場利用税(以下利用税)廃止をめぐる動きがここに来て活発化してきたが、その実現にはまだ難問が待ち構えている。
過日、参議院議員会館において、自由民主党5合同会議が、日本ゴルフ協会など3団体などが出席して行われた。自民党5部会とはゴルフ振興議員連盟(衛藤征士郎会長)、オリンピックパラリンピック東京大会実施本部(遠藤利明本部長)、同実施本部ゴルフ場利用税廃止検討チーム(中曽根弘文座長)、政務調査会スポーツ立国調査会(馳浩会長)、政務調査会文部科学部会(赤池誠章会長)。利用税廃止が単独で、自民党部会で会議されるのは初めてという。いわば"オールスター"で廃止をアピールして党税制調査小委員会にプレッシャーをかけようというものだ。
利用税徴収はざっくりいうなら、「ゴルフはスポーツではなく贅沢な遊びだ」という認識の上に立っている。それが五輪でゴルフは正式な種目となり、スポーツという地位が世界的にも確認されたことになるので廃止推進側は錦の御旗を手にしたことになる。この機会を逃すともう廃止は不可能だという人は多い。
しかし、利用税はゴルフ場のある市町村自治体の財源として定着している。ただしピーク時の徴収額は1040億だったが、現在は475億円と下がってきている。ゴルファーの大半も年収500万円以下でかつての担税力が見出せなくなっているのも確か。そうはいっても475億円がなくなれば自治体にとっては大打撃。そこでスポーツ庁は代替財源のシミュレーションを提案している。ゴルファー1人200円の寄付金をベースに、ふるさと納税の返礼品として、「ゴルフ場利用券」設定を呼びかける。
「全国417自治体にアンケートをとったところ、代替財源があれば廃止も賛成というところもありましたが、全体としては反対が多かった」(日本ゴルフ団体協議会会長・小宮山義孝氏)。やはり税収減を危惧する自治体の抵抗は予想される。また昨年の自民党税制調査委員会の審議で、利用税の廃止要望は長期課題として検討することになって、今年度の廃止は見送りになった経緯がある。
五輪までの実施には今年がぎりぎりということもあって、廃止を巡ってのせめぎ合いが今後、熾烈になることは確かだろう。
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