Tポイントレディスで優勝争いした上田桃子は、15番でグリーン脇とバンカーの間の斜面にボールが突き刺さる事態に。無罰でドロップした処置を巡って読者から疑義を呈されたので説明しておこう。
桃子もスルーザグリーンのルールを確認中
その読者の疑義とは「同じグリーン脇の斜面でも、バンカーなら救済されないのに、ちょっとしか離れていない芝のところならなぜ救済されるの?」というもの。
ゴルフ規則25‐2「地面にくい込んでいる球」項では「スルーザグリーンの、芝草を刈ってある区域で、球がその勢いで自ら地面に作った穴(ピッチマーク)にくい込んでいるときは、その球は罰なしに拾い上げてふき、ホールに近づかず、しかも球のあった箇所にできるだけ近い所にドロップすることができる」
上田の場合はこの「スルーザグリーンの、芝草を刈ってある区域」であったということだ。ではなぜ、バンカーではダメなのか? 一言でいえばバンカーはハザードであるからだ。であるがゆえに「異常なグラウンド状態」、例えば雨などで水びたしなどになっていなければバンカーでは救済されない。その救済される場合でもバンカー内にドロップしなければならないのだ。その理由もバンカーはれっきとしたハザードであるから。バンカーはわざわざ人為的に造ったトラップ(罠)──スコットランドのリンクスではトラップとはいわない。なぜなら自然に造られたハザードだから──である。
プレーヤーはそのトラップを避けようとすれば、プレーヤー自身の技スキ ル 術によって避けえたはずである。避けえなかったのは未熟であったためで、その代償は払わなければならないというわけである。
「その伝でいえばスルーザグリーンの、芝草を刈ってある区域はそこに打てれば、次のショットに有利になりますよということ。それが"不利"になったがゆえに救済が受けられるということです。このルールの精神がわかれば、上田のケースの疑問もすぐ解けると思うのですが……」(ルール研究家・小山昆氏)
ルールを知れば、ゴルフの哲理を知ることにつながる。
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