米国で封切されたゴルフ映画が評判に。1913年の歴史に残る全米オープンが舞台
 

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週刊ゴルフダイジェスト 10/25号
2005/10/20更新
米国で封切されたゴルフ映画が評判に
1913年の歴史に残る全米オープンが舞台

 9月末にアメリカで封切りされたばかりの「グレイテスト・ゲーム・エバー・プレード」という映画が、米国のゴルファーの間で話題になっている。この10年間に「ハッピー・ギルモア」(邦題:俺は飛ばし屋、プロゴルファー・ギル)、「ティン・カップ」、「バガー・バンスの伝説」、「ストローク・オブ・ジニアス」と数々のゴルフ映画がハリウッドで作られてきたが、その中でもこの作品は最高の出来、といった評価が高いからだ。

「ウォルト・ディズニー・ピクチュアーズ社のスポーツ映画の中でも最高の出来の一つ」と、米紙コラム欄やムービー雑誌などで軒並み高い評価を得ているこの映画、日本での封切り予定はまだ未定だが、これまでのゴルフ映画には見られない新しい映像技術、飽きさせない作りになっている。

 加えて「これは実話である」というタイトルで始まる映画の中で再現された「過去最高の試合」とは、1913年の全米オープンを舞台にしたものだ。

この全米オープンは、アメリカのゴルフの歴史を変えた大会といわれている。というのも、当時のゴルフ界はイギリス人全盛の時代。

 全英オープン6勝(1913年時点では5勝)の名手ハリー・バードンとビッグヒッターのエドワード・レイを、当時20歳の米アマチュアプレーヤー、フランシス・ウィメットがプレーオフに持ちこんで、優勝したからだ。

 全米オープンでは初めてのアマチュアによる勝利でもあり、アメリカン・ゴルフの幕開けともいえる歴史的な試合だった。

 映画ではアメリカン・ゴルファーの最初のヒーローとしてウィメットを縦軸に、そしてプロゴルファーの地位が低かった時代のバードンの葛藤を横軸に、物語が感動的に作り上げられている。

 ウィメット自身も、キャディ上がりとして差別を受け、父親からも反対されながら、一度はゴルフをあきらめるが、たまたまこの大会がウィメットの地元のボストン郊外ブルックラインにあるザ・カントリー・クラブで開催されたことから、偶然に出場することになったのだ。

 まだ階級差が大きかった時代のアメリカで、差別を受けるウィメットと、いくら名手であってもクラブのメンバーになれないバードンが、ゴルフを通じてお互いに認め合うのだが、やはり映画の圧巻は、彼らのプレーシーンだろう。

 SF映画のメイトリックスで使われたような、全方向からのスウィングシーンや、ボールの目線で打球やパッティングが沈むシーンなど、テレビのゴルフ中継では決して見られない新しい映像技術を駆使したシーンが、盛り沢山。

 これまでのゴルフ映画だと、どうしてもゴルフの試合場面が冗長になりがちだったが、映像の面白さに、ゴルフを知らない向きでも楽しめる映画に仕上がっている。

 ホラーやスリラー映画、SF映画、怪奇物といった映画ばかりが目立つ中で、珍しく大人も子供も楽しめる映画だけに、「今年のベストフィルムの一つだ」(CBSラジオ)と映画評も高い。

 主演、助演男優達などは、ほとんど無名に近いが、実際のウィメットやバードンに似ており、時代考証を含めて、ゴルフ通が見てもなかなか楽しめそうだ。

 監督は、「タイタニック」の船のオーナー役や「マイティ・ジョー・ヤング」、「U-571」などに出演している俳優でもあるビル・パックストン。

 監督としては3作目ということだが、この映画で、監督としての地位を固めたようだ。

 日本での公開はまだ先のようだが、楽しみながらゴルフの歴史を知る機会にもなりそうだ。

 
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