東京五輪の開催コース。初めて公の場で議論された!
 

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週刊ゴルフダイジェスト 2014/11/04号
2014/10/28更新

東京五輪の開催コース。
初めて公の場で議論された!

 10月14日、東京で「第1回日本ゴルフビジネスフォーラム」が開催された。『もっと良く、もっと盛り上がるゴルフ業界を目指して』をキャッチフレーズに、ゴルフ業界関係者が一堂に集い、将来の日本のゴルフを考える会合である。なかでも、週刊GD10月14日号で「東京五輪のコースに異議あり(倉本昌弘PGA会長)」を記事にした直後だったこともあり、参加者の注目を集めたのが2020年の東京五輪の話題だった。

『オリンピック成功に向けて』と題されたパネルディスカッションには、永田圭司(JGA専務理事)、原口豪(霞ヶ関CC副理事長)、山中博史(JGAオリンピックゴルフ競技対策本部2020東京準備委員会副委員長)がパネラーとして出席、主に会場が霞ヶ関CCになった経緯と理由が説明された。

 一昨年2月にIOC(国際オリンピック委員会)に出された申請ファイルでは、東京都港湾局所有の若洲GLが候補となっていた。昨年9月、東京開催が正式に決まったが、新聞などでも報じられていたため、若洲で開催すると思っていたゴルフファンも多かったことだろう。しかし永田氏によれば、東京都の依頼で招致委員会に提出する「実行ファイル」を作るにあたり、IGF(国際ゴルフ連盟)やJOC(日本オリンピック委員会)との協議の末、以下の4条件が決定。

霞ヶ関CC決定の理由

①国際競技の開催実績のあるコース(7000ヤード超)、②36ホール以上あるコース、③晴海から5キロ以内、④1日1万5000人から2万人以上を収容できる、という4条件だ。その結果、第一候補に霞ヶ関CC、第二候補に横浜CCが決まった。パネラーの霞ヶ関CCの原口氏によれば、一昨年11月のIGFの視察で「国際大会の開催可能な十分なレベルとの評価を受けている」との高い評価を得たという。

 その後、昨年9月には東京での正式開催が決まり、今年7月には「実行ファイル」どおり霞ヶ関CCがゴルフ会場に決まった、という。現在、東京都は競技会場の見直しを進めている。舛添要一都知事の就任後の所信表明演説を受けてのもので、来年2月までに会場を正式決定する、というものだ。しかし前出の永田氏によれば、「ゴルフについては正式決定であり、会場の見直しは100%ない」とのことだ。

 それはともかくIGFは霞ヶ関に、東コースを300ヤードほど延長することと、1グリーン化を求めている。その費用はどこから出るのか?

 永田氏によれば、国立競技場は国の予算、東京都の施設については都の予算で行われるが、「民間の霞ヶ関CCの場合、国や都からは一切、出ない」とし、原則として霞ヶ関による自己資金での改造とした。しかしながら一部、大会組織委員会から出る運営費から支出される可能性も示唆している。

国会でも審議

 フォーラムの翌々日、東京五輪のゴルフ会場問題が、国会で取り上げられた。参議院文教科学委員会で、文科省に対して質問したのが、みんなの党の松沢成文参議院議員。松沢議員は、コース改修等の費用が自己負担ということで、「(霞ヶ関の)理事会は賛否両論が渦巻いている。理事会が紛糾している。(霞ヶ関に次ぐ第2候補の)横浜CCでは、自分たちで負担するならやってられない、と宣言している」ことを根拠に、「半年後、1年後に、とんでもないどんでん返しが起きる可能性」をも指摘した。

 国会での議論はともかくゴルフファンのためにも、誰にもわかる説明がJOCやJGA、東京都など当事者に求められていることは間違いない。

 今回のフォーラムは、そのための試みとして有意義なものだった。だが、時間の制約があったこともあり、疑問がすべて解消したとは言い難い。

 それだけに本誌は、ゴルフファン、読者の視点で、疑問に思うことについて、今後も地道な取材活動を続けたい。

 
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