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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/1号
2010/5/21更新

スロープレーで2ペナ宣告にブチ切れ棄権した
三塚優子騒動の本質

 5月6~9日、女子ツアーのワールドレディスで、三塚優子が途中棄権。この行為に対し、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は、罰金200万円と、2年間の新人セミナーの受講を義務づけるという処分を下した。三塚サイドからあった2カ月間(国内8試合)の出場辞退とプロ活動の自粛、海外3試合の出場辞退の申し出も了承された。


アメリカではこんな姿もいっぱい見られる?

 

 大会初日のフロントナイン。三塚、馬場ゆかり、ニッキー・キャンベルの組は序盤からプレー時間が遅く、7番ティにやってきた時には、すでに前組は8番グリーン上にいた。これに競技委員会は、3人に注意をうながし、同時にプレー時間の計測を始めた。

 LPGAツアーが設けているローカルルールには、「前の組との間隔が14分以上空いた場合、または、パー4でティグラウンドに立ったときに前の組がホールアウトしていた場合、その組が遅れを取り戻すまで計測の対象となる」と書かれている。

 罰打の対象となるのは、計測対象になった組で、「1打の所要秒数が60秒(自分の球を打とうとする前動作を行う時から計測が始まり、打ったまでを計測)以上の場合」、「1ホールでのストローク平均所要秒数(1打あたり30秒が目安で、パー3なら90秒)より11秒以上かかった場合」などで、三塚は、8番パー3でティショットを28秒で打ち終えたものの、ファーストパットに75秒、セカンドパットにも75秒かかり、トータル178秒で競技委員から2打罰を宣告された。

 この裁定に、三塚は、「何で私だけ?」とブチ切れてしまい、途中棄権してしまった。しばらくして落ち着きを取り戻し、コトの重大さに気がついたようだが、後の祭り。プレー自粛や200万円の罰金が妥当かどうかは別にして、制裁を受けることになった。 

 今回の事件を三塚1人の問題ですませてはいけないというのは、現在ラウンドレポーターとしても活躍する村口史子プロだ。
「今、ツアーで活躍しているプロたちは『自分さえ良ければ』というところが見受けられる。だから、プレーが遅くて何が悪いのということになってしまう。本来ゴルフというのは、同じ組の人に気を遣いながらプレーをするスポーツ。多少なりとも思いやりの気持ちがあれば極端なスロープレーにはなりませんよ」

 村口プロによれば、ルールに関しても未熟なプロが多いようで、「ドロップの仕方をとっても、見ていてドキッとすることがしょっちゅうある」というのだ。

 また、国際ジャーナリストで、日本ゴルフ協会の国際委員も務める大宅映子さんも、「今回のことは怒るべき立場にある人が、怒らない」という日本の社会自体に問題があると指摘する。
「アメリカのゴルフ場は、アマチュアに対しても、プレーが遅れればマーシャルが飛んできて、『早くしろ』と怒鳴りつける。言ったことはちゃんと守れよという風潮があるし、マーシャルにもその権限が与えられている。そのあたりが日本はあいまい。
 一応、何時間で回ってくださいと言われるけれど、守ろうとしないし、律する人もいない。プロもアマもそういういい加減ななかでプレーをしているから、時間なんてどうでもいいってことになってしまう」

 もっとも、大宅さんも村口プロも、今回の三塚のとった途中棄権は問題で、どんな理由があるにせよ許されないという。
「ゴルフは同じ条件では戦えない、理不尽極まりないスポーツだと思うんですよ。そういうものをすべて受け止めて勝利を目指す。そこにゴルフの素晴らしさがある」(大宅さん)

 4人1組でラウンドするのがゴルフ。遅れたらみんなで進行を早めるのが常識でありマナー。ゴルフは単なる個人競技ではないのだ。

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