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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/9号
2008/11/28更新
11月末から「裁判員制度」候補者選びが始まるが、
プロが選ばれたらどうなる?

 来年5月から実施される裁判員制度。選挙権のある人なら誰でも、居住地の地方裁判所で行われる重大な刑事裁判の審理に参加し、裁判官と一緒に評議、判決を宣告する職務を負う制度だ。裁判員を務めることは制度上、“国民の義務”。選任された場合は、相応の理由がなければ辞退できない。それはプロゴルファーも同じ。大事なトーナメントの日程と重なったときは、さてどうなるだろう?

 来年5月21日から始まる裁判員制度による裁判。その理解を深めるための広報CMが現在放映されているが、来年の裁判員候補者の名簿に記載された人へは、年内のうちに通知が届く。

「来年、裁判員候補に選ばれる可能性がありますよ」という予告の通知だ。

 その数は全国で29万5000人余。平均すれば352人に1人だが、各地裁が扱う裁判数と地域の有権者数によってばらつきがあり、最も割合が大きいところでは211人に1人(大阪地裁の本庁)。また、東京都内では311人に1人が登録されるようだ。

 案外、高い確率だ。今は他人事でも、今後、身内や周辺に通知が届けば、ぐっとリアルな話題として各職場で話の俎上に上りそうだ。ちなみに、登録されたことをネット等で広く公知させることは法律で禁止されているが、相談するために周囲に話すことは禁止されていない。

 問題はその先。制度が実施されると、名簿に記載された人の中から、くじによって基本的に50人(事件によっては100人)が裁判員候補として裁判所に呼び出される(6週間前までに「呼出状」が送付される)。そして、相応の理由がない限り、裁判当日の午前中に行われる選任手続きに出席しなければならない(選任される裁判員は6人)。

「国民の義務」とはいえ、仕事等で忙しい身には、「辞退できるものなら辞退したい」というのが本音。しかし、単に仕事が忙しいという理由では辞退は認められない。裁判員候補として呼び出されながら、正当な理由なしに欠席した場合は、10万円以下の過料となることがある。

 では、プロゴルファーの場合、競技を理由に辞退は可能なのだろうか?

 法務省に尋ねたところ、「担当の裁判官の判断になりますが、その試合に出なければプロとしての生活に支障が出るとか、プロ人生をかけた試合だということが認められれば、辞退できると思います」との返事。

 だから、例えば賞金王を争っていたり、シード権がかかっている場合は、辞退が可能になりそう。同じく、プロテストやQTの日程と重なる場合も、辞退が認められる可能性が大きい。

 また、アマ競技でも、プレーヤー人生をかけた競技、例えば「日本アマの最後のチャンスだから」というような場合は、欠席できるかもしれないという。

 であれば、担当の裁判官がゴルフ界の事情に精通しているか、いないかで、プレーヤーの処遇は大きく変わることになりそうだ。

 なお、日本ゴルフツアー機構や日本ゴルフ協会など、競技団体にも話を聞いたが、いずれも選手が裁判員になった場合の特別処置はまだ考えていないとのこと。なんとしても裁判を振り切って試合に出たいというプレーヤーは、自分で重要さを説得できるよう、しっかりと理論武装をしておく必要がありそうだ。

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