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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/23号
2008/9/11更新
ゲリラ豪雨で冠水の河川敷コースに対し
“嬉し、恨めし”だった岡崎のゴルフ場

 8月末から日本列島のあちこちが“ゲリラ豪雨”と呼ばれる、これまでにない局地的な激雨に見舞われている。狭い範囲に次々と雨雲が襲いかかったため、近距離にあるゴルフ場でも被害に遭ったところ、遭わなかったところと大きな違いが生じた。まさにピンポイントを狙ったゲリラ豪雨だった。


バンカーから砂が流れ出て、土砂崩れ被害がひどかった葵CC

 地球温暖化の影響なのか。以前より気象の変化が激しくなったように思われる。

 先々週、8月29日の未明、突如襲った「平成20年8月末豪雨」のため河川がまたたく間に氾濫し、死者も出た愛知県岡崎市。ゴルフ場もさぞやと思い、まずは岡崎CCにその影響を聞いた。ところが、コース内の一カ所で土砂が流れただけで、大きな被害はなかったとの返事。

 ところが、そこから10キロほどしか離れていない葵CCでは様相が一変。「多くのバンカーで砂が流れましたし、バンカー2カ所で縁が崩れ、カート道路の3カ所と斜面の3カ所で、土砂が崩れてしまいました。当分は修理地扱いで営業する予定です。これほど大きな被害は初めてです」(永井英武支配人)

 名古屋地方気象台の発表によれば、岡崎市では28日の降り始めから30日までの3日間で、年間総雨量の約3割に当たる447ミリの降雨を記録。なかでも29日午前1時からの1時間では147ミリという想像を絶する土砂降りとなった。葵CCはその猛烈な雨雲の直撃を受けた。

「この近くにあと2~3コースあるんですけど、うちのような被害はないみたいですね。お天気のことなので、どうしようもありませんけど……」と半分諦め口調だ。

 28~29日のゲリラ豪雨は、関東のゴルフ場でもあちこちで爪痕を残している。なかでも被害が大きかったのは、利根川河川敷の東我孫子CCだ。29日のうちに全面冠水したコースは、当初この3連休前の再開を予定していたが、覆ったヘドロの量が多く、復旧作業は難航中だ。

 同じく、利根川河川敷の利根パークGは5日間のクローズで、この3日に再開できた。

「台風による冠水ですと、もっと大量のゴミが流れ込むので大変なのですが……」(富井義明支配人)。同コースでは例年、台風で1~2度は冠水、クローズを余儀なくされる。ところが、今年はその台風がまだ列島に上陸していない。それだけに、この先、続けて来はしないかと心配しているという。

 ところで今夏、西日本は晴天続き。多くのゴルフ場で、芝管理は渇水に青息吐息だった。前述の岡崎市の各コースも最初、25日に襲った雷雨には、“恵みの雨”と喜んだという。ところが、天は人間の都合などお構いなし、そのまま災害を引き起こすほどの大雨となった。

 極端から極端へ。このところの異常気象の傾向と言っていいのだろう。それにコース管理は大いに翻弄されている。

「最近は、異常気象は必ず起こるものと考えて、豪雨、長雨、渇水と、あらゆる異常気象を想定にいれたリスク管理を呼び掛けています」と語るのは、コース管理のコンサルタントも務める日本GC設計家協会理事長の佐藤毅氏。

 暑さや渇水に強い芝の研究(実は、西日本ではコーライ芝に張り替えるコースが増えている)といったレベルは当然、最近は、例えば排水能力の甘い判断や排水施設の点検ミスは、災害につながるといった高いリスク管理の意識をもって、コース管理をしているという。

 さすが相手は“ゲリラ”まで擁する敵。対策は大変なのだ。

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