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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 4/22号
2008/4/10更新
今年開催の新規トーナメント、
井上誠一設計のコースが多いのはなぜ?

 女子ツアーで16年ぶりに復活した先週のヤマハレディースは、舞台が井上誠一設計の葛城GCだった。実は今年、同氏設計のコースで開催されるトーナメントが一気に増えたのだ。大利根GC、茨木CC、戸塚CC。また、浜野GCでも女子の2部ツアー戦が予定されている。なぜ今、これほど井上誠一設計のコースがもてるのだろうか。


戦略性が特徴の井上設計のコース(写真は大利根CC)

 これまで毎年、ツアー競技が開催されてきた井上誠一の設計コースには、男子の日本シリーズや女子のワールドレディスが実施される東京よみうりCCと、ANAオープンの札幌GC輪厚コースがある。また、霞ヶ関CCや大洗GC、愛知CCなどでは日本オープン等の公式戦がしばしば開催されているほか、指宿GC、瀬田GCはかつてのツアー競技会場として良く知られる。

 改めていうまでもなく、井上誠一は日本を代表する名設計家。手がけた40コースの多くが本格的なチャンピオンシップコースなので、ツアー競技が実施されるのは当たり前といえば当たり前。

 それでも今年は先の葛城GCの再登場に始まり、パナソニックオープン開催の茨木CC西コース、キヤノンオープンの戸塚CC西コース、そしてレクサス選手権の大利根CCと、いずれも男子の新設大会の舞台に選ばれた。さらに、女子ステップアップツアーのジョイントカップも今年から浜野GCで行われることになった。

 どうして、今、こうも井上誠一設計コースがツアーの、しかも大スポンサー競技に揃って見初められたのだろう。

 たまたま今年は、同氏の生誕100周年に当たるのだが、まさかそれが理由ではあるまい。ゴルフジャーナリストの田野辺薫氏は近著『廣野、川奈はなぜ、日本一なのか』(小社刊)のなかで、自身が実際にプレーして選んだ「ニッポンのベストコース50」を紹介しているが、そこに井上誠一設計コースを13コースも選出している。

 田野辺氏に、今回のツアー開催の理由を推測してもらった。「やっぱり井上さんのコースは戦略的で、面白い試合展開が期待できるからじゃないかな。井上さんの設計は、基本的に2つのルートが用意されているんです。簡単に言えば、回り道だが安全なルートとリスクは大きいが大きなメリットが見込まれるヒロイック(英雄的)なルートです」

 それゆえ、(そうした知識のある人にとっては)観戦の醍醐味がある。また、終盤の優勝争いでは、プレーヤーが選んだルート次第で戦局が動くという面白さもある。

 さらに「特に男子の3大会は、たくさんのギャラリーを集めたい大会でしょうから、そのための立地の良さで選ばれた可能性もありますね」と田野辺氏。3コースとも交通の便が良い上に、36ホールの広い敷地があり(葛城GCも)、過去に日本オープン開催で大ギャラリーを収容した実績がある。

 そして、これは大前提なのだが、いずれのゴルフ場も経営者にツアー開催に理解があることも大きな要因だったと思われる。

 先週の葛城GCは、競技開催に対して「井上先生が設計したコースを大勢の方に見てもらいたいという思いはありましたね」(藤川暢支配人)と、やはり積極的な姿勢を見せる。

 実は、同コースは開場から30年を経て、バンカーに30~40センチもの堆積物が溜まり、形状がオリジナルから大きく変わっていた。そのため、(今大会に合わせてではないのだが)昨年まで2年間をかけてその修復工事を行っていた。「ちょうど井上先生の設計どおりに戻ったところでの開催で良かったと思っています」(藤川支配人)

 半面、名コースだけに、管理には日ごろから責務を感じており、今大会でもコース・コンディションづくりに大きなプレッシャーを感じていたという。

 華やかな舞台の裏には、それ相応の苦労があるようだ。

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