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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/8号
2006/7/25更新
男子ツアーで75パーセントと驚異の使用率
オデッセイパターシェア拡大の秘密

 ウッドワンオープン広島まで12試合で10勝。UBSツアー選手権では出場132名中98名が使用して74.2パーセントの高使用率、続くウッドワンオープン広島では144名中100名で76.4パーセントと記録を更新した(キャロウェイゴルフ発表)
 つまり、4人のうち3人がオデッセイを使用しているわけで、かつてよく耳にしたアマチュア同士のラウンドで1組4人全員が2ボールだったという笑い話さながらの現象が、プロの世界でも起きている。これほどまでオデッセイが浸透した要因はどこにあるのだろうか。


ニューモデルの投入も人気を後押し

 オデッセイは91年にカリフォルニアで設立され、97年にキャロウェイゴルフに買収された。当時のキャロウェイゴルフは、ドライバーとアイアン部門の販売でトップに立っていたが、総合では業界4位に甘んじていた。

 業界ナンバーワンを目指して、パターを手がけようとした矢先に、オデッセイが売りに出されたのだ。買収金額は約150億円。業界内では、こんな噂も飛び交った。

「たかがパターメーカーに見合う金額ではない。いずれ無謀な投資がキャロウェイの屋台骨を揺るがすことになるのでは」

 第三者から見て無謀な賭けも、当時の経営陣には成算があった。会社が近く、社風が似ていたことも決めてになったと同社関係者。

「ライバル社に買われるのは避けたかった。また、社員の再教育など追加投資も最小限ですむという判断がなされた」(キャロウェイゴルフPRマネージャー・松尾俊介氏)

 結果的にこの判断は間違っていなかった。2005年の同社の売上げの中で10パーセント強を占め、同社の事業の中核となっている。

 さて、話を本題に戻そう。米国や欧州ツアーと比べても、日本ツアーでのシェアは異常に高い。日本ツアーに上陸した98年当時はひと桁に過ぎなかった新興ブランドが急成長した理由はいろいろ考えられる。

 まず挙げられるのは日本独特の背景だ。

「パター専業メーカーの多い米ツアーはパターも契約する選手が多い。その点、日本ツアーではパターを契約から外している選手が圧倒的」(前出/松尾氏)

 アマチュアの世界で、トップアマなどオピニオンリーダーから口コミで広まってヒット商品が生まれることはままあるが、実はプロの世界ではアマチュア以上に口コミ効果が高いといわれている。

「ライバルの腕を認めるのは、自分が下と認めることになる。同じ道具さえ使えば、同じくらいはやれると思うのがプロ」と本音を漏らす選手もいる。

 また、パター上手といわれる選手と同じ道具を使うことであやかりたいという気持ちも働いているのかもしれない。そんな理由でじわじわとツアーに広がっていった。

 昨シーズン、パット数1位のS・K・ホやパットの名手として知られる久保谷健一の影響を受けてトライホット#3を使う選手も多く、UBSツアー選手権では、同モデルがホワイトホット#5と並んで単一モデル使用率トップになった。

 オデッセイのフェースインサートとウレタンボールの相性のよさを口にする選手も多い。

「ホワイトホットで慣れると他のパターでは距離感が出せない」。ホワイトホットが発表された02年からオデッセイの急伸が始まったことがその言葉を裏付ける。

 プロの使用率の高さは、ゴルファー心理をついたもっとも効果的な宣伝となる。そのために各社は、激しい選手獲得競争を繰り広げている。

 中には自社のクラブをバッグに入れる見返りとしてインセンティブマネーを支払って、急速にシェアを拡げたメーカーもあるが、米国仕込みの強引な手法には疑問の声も出た。

 この点については「プロモーションの手法を変えたことはない」と、同社の松尾氏はインセンティブマネーの存在をきっぱり否定する。

「シェアが50パーセントを超えると、パターはそのブランドから選べばいいという心理がはたらき、逆に消費者の選択肢は少なくなる」というのはマーケティングの専門家の見方だ。オデッセイの王座を脅かすライバルはいつ登場するのだろうか。

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