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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/9・16号
2006/5/1更新
神戸地裁がGパーク吉川GCに「立ち退き」判決
裁判すら知らされていない会員たちに広がる不安

 本誌3月21日号でお伝えしたように、兵庫県加東郡社町にあるGパーク吉川ゴルフ倶楽部が土地の所有者である清水寺と平木地上権組合から「土地明け渡しと賃貸料等の支払い」を求められ係争中だったが、その判決がこのほど神戸地裁で下された。

 判決文によると、土地所有者である清水寺と平木地上権組合の主張を全面的に認める内容となっており、さらには判決を不服として控訴もしなかったことから、判決が確定した。

「当然の判決であり、また控訴しても勝ち目がないと判断したのも妥当でしょう」(清水寺と平木地上組合の代理人・吉井正明弁護士)

 この結果、運営会社の株式会社ジー・パークはゴルフ場を運営できなくなり、当然、会員たちもプレーできなくなった。ただし、株式会社ジー・パーク側は裁判の敗訴を見越してか、既報通り、≪冬の降雪によるコース被害の修理工事のため≫と称して、判決が出る約3週間前の3月1日から早々と無期限でゴルフ場を閉鎖中だ。

 ところが、会員たちはこのような裁判が行われていたこと、そして判決の結果についても、まったく何も知らされていないのである。

「コースの修理工事のために閉鎖するという通知は届きましたが、その後一切、何の通知も来ていません。ですから、立ち退きの裁判を起こされていたこと、そしてその裁判に負けたことなど知る由もありません。今後どうなるのか不安です」(某会員)

 この会員が不安がるのも無理はない。株式会社ジー・パークはGパーク吉川ゴルフ倶楽部以外にも2ゴルフ場を運営しており、個々のゴルフ場の会員権を持つ会員に対して、入会当時の会員権の預託金の返還を期待しても運営会社が変わっていることからその可能性はゼロに近い。

 それに替わって会員権を有効利用できる方法と謳って「3ゴルフ場が利用できる利用会員権への移行」を強くすすめてきた経緯があるからだ。

 利用会員権に切り替えた会員は5000名くらいと見られており、取材に応じてくれた会員も、この利用会員権へ切り替えた一人だった。

 切り替えると預託金は消滅するが、預託金の額に応じて何口かに利用権が分割されて戻り、使わない利用権は売買することも可能で、さらにはプレー代、年会費も通常の会員より安い等の特典があり、移行費用は事務手数料の9800円のみ、というものだった。

 ところが、今回の判決によってプレーできるゴルフ場がひとつ消滅したことになる。前回でも触れたが、この利用会員権を募集し始めた時には、すでに土地の明け渡し訴訟を起こされていたことから「敗訴すればプレーできるゴルフ場が減ることが明確なのに、それを伏せて募集するのは詐欺的行為に等しい」(会員権問題に詳しい・宅島康二弁護士)という。

 そして、今回の敗訴確定によってさらに新たな問題が浮上したのである。

「株式会社ジー・パーク以前に運営していた2社が今回と同じように利用会員権に切り替えることを進めた時、切り替えた会員をクラブハウス、カート保管場といった建物の共有持ち分権者として登記したのです。
 すると、明け渡した土地の上の建物は登記している者が撤去する義務があり、それに伴う費用も払わなくてはなりません。
 そこで、すでに2年ほど前にその危険性を指摘して持分権を早く運営会社に返還するよう通知書を出したのですが、ほとんどの会員がそのままなのです」(吉井弁護士)

 通知書の中身を吟味しないままの会員が多かったのだろう。その数は2000名強に上る。
「2000名強の会員がまとまってお金を出し、建物を撤去することは現実的に不可能です。こちら側が撤去して、その費用を請求する、ということになると思います」(吉井弁護士)

 裁判のことも知らない会員がほとんどのため、話がここまで重大化していることを知る会員は皆無に近いだろう。

 この問題を含め、今後どう対処していくのか、株式会社ジー・パーク側に問い質しても、担当者不在を理由に、現在、取材に応じようとはしない。今後どのような展開を見せるのか予測がつかない状況だ。

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