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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 4/11号
2006/3/29更新
「飛ばない」統一ボールでゴルフ選手権開催
米オハイオゴルフ協会が定めた「平等」の精神

 いよいよ「トーナメントボール」を使うゴルフ選手権が、米国で開催されることになった。トーナメントボールとは聞きなれない言葉かも知れないが、要するに「飛ばないボール」のこと。クラブやボールの進歩で、ゴルファーの飛距離が年々伸びているが、コースのヤーデージを伸ばすことには限界がある。そこでついに「飛ばない統一のボール」使用を義務付ける試合が現れた。

 トーナメントボールの使用を決めたのは、アメリカ・オハイオ州のゴルフ協会。今年8月22~23日にウィンディ・クノール・ゴルフクラブで開催を予定しているオハイオ州選手権で、統一ボールの使用を発表した。

「使用するボールについては、まだはっきりと決めたわけではないが、ドライバーのヘッドスピードが、時速44.7m/sから46.9m/sでもっとも効果が出るボールを検討している。
このボールだと53m/sのヘッドスピードのプレーヤーが、現在市販されているボールで得ている利益(飛距離)を出せなくなる。
もちろん53m/sのヘッドスピードのプレーヤーは他の多くのプレーヤーよりは飛ばすことになるが、これまでほどの差は出ないだろう。要するに皆が平等にプレーできるようにと考えた結果だ」

 とオハイオゴルフ協会ボール委員会のアラン・ファーデル委員長が語るように、飛ばし屋たちを対象にした規制ということになる。

 ある統計調査によると、プロたちが使用するボールは、ヘッドスピードが51m/sを超えると、飛距離が加速度的に伸びるという結果が出ているという。これをヘッドスピードと飛距離が正比例する形に近づけて、「平等」にしようという意図があるらしい。

 同協会によれば、試合の2週間前に、参加するプレーヤーたちに使用ボールを無料で配る予定で、現在の時点では、候補となっているボールメーカーやボールの種類は発表を控えている。

 もともとトーナメントボールの発想は、マスターズで噂になったことがあるが、オーガスタナショナルは、プレーヤーの飛距離の伸びをヤーデージを伸ばすことで対応したことから、この話はたち消えになっていた。

 とはいえ莫大な費用のかかるコース改造は、簡単に出来るものではない。そのため昨年USGAは、メーカー各社に飛ばないボールの試作品を発注し、そのテストを行うことにしていた。

 USGAにしてみれば、トーナメントボールを作るにしても、メーカー1社に限定することは出来ない。ボールの構造を研究し、仕様を発表することによって、あるいはボールの性能を限定することによって、メーカー各社にボールを開発させる必要があるのだ。そうした事情がネックとなり、USGAがトーナメントボールを計画しても時間がかかってしまう。

 オハイオゴルフ協会はUSGAの傘下にある団体だが、以前から独立色が強いことで知られている。かつてUSGAのルールとは別に、ローカルルールとして、「スパイクマークを直せる」という規則を作っていたこともある。

 この問題に関しては、ソフトスパイクが出て以降、オハイオゴルフ協会が折れて、撤回することになったのだが、そんな独立色の強いゴルフ団体だからこそ、トーナメントボールの使用に踏み切ることが出来たようだ。

 ただし、こうした動きがオハイオ以外の他州にも広がれば、やはりUSGAも何かのアクションを起こさざるを得ないだろう。そうした意味でトーナメントボールは、これからの時代の流れになるかもしれない。

 いまやツアーの世界では、トッププロの条件として、身長190センチ以上で、300ヤードの飛距離が当たり前になりつつあるが、そうした時代もそろそろ終わりに近づくのだろうか。

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