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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2/7号
2006/1/26更新
会員による自主再建型コースのモデルケース
鳩山CC、正会員募集に1週間で倍以上の応募

 鳩山CCが昨年暮れに実施した、正会員の補充募集に、わずか1週間で募集人数の倍以上の応募があり、改めてその人気の高さを証明した形になった。


今でも人気の高い鳩山CC

 旧大京系の人気コースとして知られた鳩山CCの経営会社・鳩山観光は、大京が産業再生機構に支援を要請したことを機に平成16年9月に民事再生手続きの開始を申し立て、昨年3月30日の債権者集会で会員側が提案した、間接株主会員制による再建計画で認可決定を受けた。

 いったんは会社側が推す、森インベストメント・トラストのスポンサー就任が決まりかけていたものを会員組織がひっくり返した、会員主導型のモデルケースとしても有名になったことは、すでに既報どおり。

 今回の募集はあくまで欠員補充という位置づけで、いわゆる追加募集ではない。再生手続き申立前の会員数は、正会員約900人に平日会員200人の合計1100人。

 再生計画認可後の措置で、平日会員から正会員に約60人が移行したため、平成17年度に正会員45口、平日会員130口、18年度に正会員60口の募集をかけた。

 昨年12月1日から正会員45口分について、一口あたり294万円で縁故募集をかけたところ、わずか1週間でその倍以上の応募があったため、平成18年度分を前倒す形で対応することになった。

 再生計画上の弁済率は31.2パーセントなので、現在、鳩山CCの会員権は、10年据え置きで旧額面の31.2パーセントの返還請求権が付いた株主会員権。一方、今回募集分はプレー会員権。

 株主会員権がだいたい290万円~300万円の相場で推移する中、ほぼ同額での募集に応募者が殺到したことになる。

「ゴルフ場の大量倒産を経て、今や会員権はプレー権に着目して買うというのが完全に定着し、資産価値を目的にした購入は影を潜めました。プレー会員権と株主会員権の値段が同じということは、今となっては不思議なことではないでしょう」(日本ゴルフ場経営綜合研究所の降旗貞夫理事)

「好まれるのは、とにかく経営が安定していて、プレー環境が良好なコース。預託金の額面はまったく相場には関係ない」(ゴルフ会員権業者)というから、もはや株主会員権だというだけで高値が付く時代ではなくなったということだろう。

ところで、鳩山CCでは退会者があまり出なかったこともあり、退会者に10年分割で返済する預託金の額は毎年数千万円程度。従って、今回の追加募集の目的は資金調達ではなく、「コースの活性化」だという。

「営業をかけてビジターを入れてということではなく、会員がきちんとしたお客さんを呼んでくることで、安定した経営をしていきたい。そのために会員数を適正な人数に戻そうというのが趣旨」(大和田克美支配人)で、縁故募集でこれだけの成果が上がったのも、「自分たちのコースを、会員自身が高く評価していたことの現れ」(同)だろう。

このため、いくら好評だったからと言っても、正会員はこれ以上増やす予定はなく、今後は入会したければ市場で会員権を購入するしかなくなる。

 もっともこれから募集をかける平日については、「土曜プレー不可なので、時間はかかるのでは」(ゴルフ業界関係者)という声も。

 ゴルフは一人でやるものではなく、気の合う仲間と楽しむもの。従って、お互いの都合も考えると、やはり会員権は土日にプレーが出来る、正会員に需要が集中する。

 鳩山CCでもそのあたりは折り込み済みで、「1年ほどかけてゆっくり募集していく」(大和田支配人)という。

 着実に増えつつある会員の自主再建型のコースでも経営の安定が至上命題であることに違いはない。しかし、会員の新規募集やビジター増といった、単純な収益安定策は、会員自身の利益を阻害するため選択肢からはずれる。

   さらに、会員による完全な自主再建ではなく、会員が、自ら選んだスポンサーと組んでの再建の道を選んだコースでは、そのスポンサーとの折り合いという面でも、その手腕が問われていくことになるだろう。

 会員の利益を守り、なおかつ経営も安定させていく方策として何が考えられるのか。会員主導再建コースの『今後』が注目される。

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