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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 1/24号
2006/1/12更新
チタン価格高騰でも値上げできないドライバー
アイアン、FWはスチール系新素材が増えそう

 いまやクラブ作りに欠かせない素材であるチタンが高騰している。チタンの原料価格は一昨年から昨年にかけて約20パーセントも上昇しているという。


いまやチタンが全盛

「これほどの値上がりは25年ぶり。ボーイングやエアバスなどの新機種開発に伴い航空機の代替需要が発生していることや、中国で電力や化学プラントなど設備投資が増えているのも要因です」(日本チタン協会)

 チタンの大きなメリットはその軽さにあり、ドライバー用としてはチタンの代替材料は、今のところ考えられない。クラブの価格に転嫁されたり、供給不足に陥る心配はないのだろうか。

「各メーカーとも、コンスタントな需要が見込めるゴルフクラブ用の新合金開発には力を入れており、供給不足になることはないでしょう」(日本チタン協会)ということだが、クラブメーカーのほとんどは、「チタンだけでなくカーボンも値上がりしていますが、適正な市場価格を維持しなければ売れない」(SRIスポーツ経営企画部/藤田英明課長)と、値上げなど考えられない状況。

 チタンの高値は、今後2年は続くと予測されており、利益を削っての体力勝負が続きそうだが、それに加え本格的なルール適合時代を迎えた今、新たなクラブ開発競争が始まっている。

 ポスト高反発ドライバーのキーテクノロジーは、シャフトと徹底した重心コントロールといわれている。クラブの性能を導き出す上で、重心設計にかかる比重はますます高まっているが、SLEルール適合ドライバーの弱点はフェース重量増により重心位置が浅くかつ高くなること。

 その影響を少なくするために、高反発フェース用として開発された15-3-3-3チタンなど高強度材料がクラウンの薄肉軽量化のために使用されるようになった。また、フェース材そのものを軽くする研究も進んでいる。

 ゼクシオのルール適合モデルは新日鐵が開発した軽比重チタン(5・5Al-1Fe)を使用することで、「先代モデルよりもフェース重量を7パーセントも軽減し、低深重心化に貢献している」(前出・SRIスポーツ/藤田氏)

 一方、アイアンやフェアウェイウッド、ユーティリティは高反発のスチール系素材を採用するケースが増えている。

 数年前まで飛びを売り物にするアイアンはこぞってチタンフェースを採用してきたものだが、2006年モデルを見渡すとインプレスX、r7CGBMAX、オノフ、メタバイオ、ナノブイなどマレージングを採用するアイアンが目立つ。

「チタンは軽量化にメリットのある素材。反発力ではマレージング」(ヤマハ・ゴルフ事業推進部/土田厚志氏)

 フェアウェイウッドでもマレージング系素材が主流となりつつある。ゼクシオのフェアウェイウッドは、先代のフルチタンからチタンフェース+マレージングボディへ仕様変更され、同時に価格を大幅に下げた。

 新しい素材も登場した。米国カーペンター・テクノロジー社が新開発したカスタム475スチールをフェースに採用したのはキャロウェイのERCホットと本間ゴルフのベレスだ。ベレスではアイアンのフェースにもこの素材を使っている。

「高強度で薄く作れるため反発のいいヘッドができる」(キャロウェイゴルフPRマネージャー/松尾俊介氏)

「同じ高反発でもチタンに比べてやわらかさが感じられる」(本間ゴルフ宣伝担当係長/桑木野洋二氏)とフェアウェイウッド用として今後注目される素材の一つだ。

 また、キャスコは独自のスーパーハイテンを鍛造加工して軽量化と高反発化を達成したパワートルネードFGなどを発売する。

「パワートルネードは、フェースを2ミリから1.7ミリに薄くすることで重心を下げることができ、反発係数も0.82とルール適合ドライバーと同等の数値を達成した」(前出/藤原氏)素材によって飛距離はまだまだ伸びそうだ。

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