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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 12/13号
2005/11/30更新
東京国際CCの再建計画でLSが独自案を提出
会員&管財人は反発、行方は裁判所の判断に

 ゴルフ場の売り物の数がめっきり減少する中、落札価格の高騰が噂されていた東京立地の超目玉・東京国際CCと、桜GCの2コースを経営する株式会社東京国際カントリー倶楽部(以下、東京国際)のスポンサー決定に、債権者であるローンスター(以下、LS)が異議を唱え、債権者として独自の更生計画案を提出することが明らかになった。


まだひと波乱ありそうな東京国際CC

 東京国際は今年1月、銀行から債権を取得したLS系サービサー・虎ノ門債権回収から会社更生手続きの開始申立を受け、3月18日に開始決定が下りている。

 会員の中間法人と上場会社の連合軍やLS以外にも、GSはじめ多数の候補がスポンサーに名乗りを上げる中、スポンサーの座を獲得したのは会員の中間法人と上場会社の連合軍だった。

 正確に言うと、スポンサー契約の当事者はRSインベストメント株式会社とミネルヴァ債権回収株式会社で、ゴルフ場の運営管理の受託がミネルヴァ債権回収の100パーセント子会社の株式会社ティアンドケイと、会員組織の有限責任中間法人東京国際クラブ。

 RSインベストメントは三洋電機の子会社で東証一部上場の三洋電機クレジットとジャスダック上場のローヤル電機の合弁会社、ミネルヴァ債権回収は大証ヘラクレス上場のITXの100パーセント子会社で、そのITXはオリンパスグループの子会社だ。

 事業家管財人にはトーナメント解説やコース設計で有名な川田太三氏が就任、12月末までに更生計画案を管財人に提出し、年明け1月末には管財人案として裁判所に提出されて、春には債権者集会、というのが当面のスケジュールだが、そこへ割って入ったのがLSグループ。

 債権者である虎ノ門債権回収と、スポンサー候補に名乗りを上げたパシフィックゴルフプロパティーズ(以下、PGP)の両社連名で会員に送付された文書には、
「スポンサー選定の結果について、詳細な内容は一切開示されておらず、その最大の関心事となるべきスポンサー提示金額さえ判明しておりません」、
「スポンサー選定の仕方や現状の更生手続の進め方には深く疑念を抱かざるを得ません」
 といった刺激的な文言が並ぶ。

 PGPをスポンサーとした更生計画案も債権者として独自に提出するとしており、現状のスケジュール通りなら、LS側も計画案を提出、管財人案とは別に、来春の採決の対象となる。

 東京国際の負債総額は約180億円だが、預託金は2コース分で70億円弱。金融債務と保証債務が50~60億円ずつで、LS側がコース施設の担保権を持つ大口債権者であることも事実。

 更生法では無担保の一般更生債権者と担保を持つ更生担保権者では別々に決議をとるため、このまま行けば管財人案が更生担保権者によって否決される可能性は十分ある。

 一方、中間法人への会員の参加率は100パーセントなので、一般更生債権については間違いなく中間法人連合軍側の案が可決される。

 更生法は234条の権利保護条項で、更生担保権者と一般更生債権者の結論が異なった場合、どちらかに補償を行う形で調整を図れるようになっている。先の木更津GCでもこの条項を使って更生担保権者だったGSの案を排除している。

「LSは口ではプレー予約は会員が最優先だとか、競技会は続けるとか言っているが、過去にLSがスポンサーになったコースがセミパブリック化するなど、プレー環境が悪化することは実証済み。地主も会員側としか賃貸借契約をしないと言っているし、断固として戦う。そのためだからこそ追加拠出金にも納得している」(東京国際CCの会員)と、LSの動きに猛反発する。

 会員宛の書面で、LS側は追加拠出金なしで従来通り会員として更生計画案を作成するとも明言しているが、ゴルフ場にとって土地の賃貸借契約は生命線。

 浜野GCの裁判では、最高裁が「更生法は事業の維持更生を図る目的のもの」と明言しており、この原理原則に則れば、会員と共同歩調をとる地主を攻略できるのかどうかで、更正の可否が左右されることになる。

 裁判所は遂行不可能な計画は審理の対象からはずす権限を持つ。今後の動向が注目される。

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