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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 10/18号
2005/10/12更新
チーム対抗戦にめっきり弱くなった米国が
一矢報いたプレジデンツカップの大騒ぎ

 ヒーローは、クリス・ディマルコとフレッド・カプルス、それにジャック・二クラスということになるのだろう。18.5対15.5でアメリカチームが優勝した今年のプレジデンツカップでのヒーローことだ。

 アメリカチーム対世界選抜チームで争うでプレジデンツカップは、日本人プレーヤーが前回2003年の試合から出場していないことから、日本では今一つ関心度が低い。

 けれどアメリカでは、ライダーカップの2連敗を含めて、2000年からプロのチーム戦で勝っていないことから、今回のアメリカチームの優勝は、日本人が想像する以上に大きな注目を集めることになった。

 なにしろ、木曜、金曜日にはケーブル局で6時間ずつの放映があったかと思えば、土曜日はNBCで朝の9時から夕方の6時半まで延々9時間半のロングラン放映。

 日曜日のシングルマッチも全員のプレーがスタートホールから18番まで6時間半に及ぶという実況中継を行った。

 しかも、この合計28時間というテレビ中継は、ハリケーンの特別放送のために時間が短縮されていたのだから、アメリカでの注目度の高さが分るというものだろう。

 そうした中で、今回の優勝に貢献したプロの筆頭は、C・ディマルコだ。4勝1分けという好成績を残し、3日目までにホールインワンやイーグルなどを見せつけた上、最終日のシングル戦では、18番ホール、あの独特のパットスタイルで4.5メートルのパットを沈め、アメリカチームの優勝を確定させた。

 そして、最終日ビジェイ・シンを破って大番狂わせを演じたフレッド・カプルスも、一躍ヒーローになったのは、いうまでもない。

 加えて、もう1人のヒーローはジャック・二クラスだろう。これまで3回のプレジデンツカップのキャプテンを務め、今回初めて優勝を手にした二クラスは、「良い勝ち方が出来た。これで終わりにするのに、ちょうど良いタイミングだ」と、今年の全英オープンでの競技ゴルフからの引退発表に続いて、こうしたキャプテン職からの引退もほのめかした。

 一言で言うなら、今回のアメリカチームの勝因は、モチベーション、意気込みの違いにあったともいえるだろう。

「我々は本当に勝ちたかったし、勝つつもりで戦っていた。二クラスのためにもカップが欲しかったんだ」とディマルコが語るように、アメリカチームには、闘志を燃やすプレーヤーが少なからずいたのだ。

 そうした点では、アメリカチームとヨーロッパチームが戦うライダーカップと似ているのだが、ライダーカップのヨーロッパチームには、欧州共同体というまとまりがある。

 それに対して、プレジデンツカップのインターナショナルチームの場合、国の名誉と言われても、どうもピンと来ない。

 世界選抜チームの敗因には、ビッグ5の一人であるアーニー・エルスが、膝の故障で休養中だったこともあるだろう。

 それに加えて、今回のプレジデンツカップの大番狂わせは、世界選抜チームの要であるビジェイ・シンが、カプルスに破れたことだろう。

 とはいっても、アメリカチームの場合もワールドランキングのトップを走るタイガー・ウッズが初戦と最終日のシングルで破れ、2勝2敗1分けの成績で、どちらにとっても波乱含みの展開ではあったが。

 ゴルフは、もともとが個人競技である上に、アメリカ人以外のトッププレーヤーたちは、自国を離れた生活を続けている。その分、インターナショナルな感覚が体に植え付けられる反面、自分の生まれた国のために戦うという意識が薄れてくるのは仕方のないことだろう。

 実際、フィジー出身でインド系のシンなどは、それこそ世界中で暮らした経験を持ち、現在はアメリカに居住しているのだから、生まれ故郷のフィジーへの愛着が薄れているのも理解できる。

 そうしたことを考えると、今後、プレジデンツカップの存在意義まで、問われることになるのかもしれない。

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