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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/15
2005/2/9更新
スキミング犯罪に当惑するゴルフ場と
案外のんきなゴルファーの防犯意識
 ゴルフ場支配人が共謀し、貴重品ロッカーに保管された銀行カードを盗み出したうえで、スキミングで偽造カードを作り、銀行口座から預金を引き出した事件から1週間。さぞかしゴルフ場でも利用者の注意が喚起されたと思うのだが……。事件以降、貴重品ロッカーの利用に変化があったり、フロント預けが増えたといった反応はあるのだろうか?

 開口一番、「先週はその話で持ちきりでした。口の悪いお客さんから『支配人も怪しいからな』(笑)って、からかわれる毎日です」とボヤく千葉よみうりCCの林一郎支配人だが、来場者の変化については、「いえ、ほとんどないですよ。うちは原則としてフロントでお預かりしないのですが、お客さんから相談を受けることもありません」と語る。

 同じく千葉県のかずさCCでは、「フロントに預ける方は多少は増えましたが、それほど目立った数ではありません」との返事。また、東京都ゴルフ場連盟会長でもあるGMG八王子Gの森川孝志支配人も「皆さん、話題にはしていましたが、それで貴重品ロッカーの使用に慎重になるといった反応はないようです」と言う。

 個別にみれば、カードとは異なる暗証番号を使うなどの自衛手段を講じる人は増えたのだろうが、表面上、貴重品ロッカーの使用状況に大きな変化はないようだ。

 取材した中で意外だったのが、高知県のゴルフ場。

「おそらく県内に暗証番号式の貴重品ロッカーを使っているゴルフ場はないと思います。どこもコインロッカー式の鍵をかけるタイプ。どうしてですかね。四国でも他の県は違うようですが……」(グリーンフィールGC 田海千幸支配人)。

 だから、当然事件後もロッカー利用に変化はなし。考えてみれば、鍵の紛失というトラブルはあるのだろうが、今の時代、このアナログな鍵式が一番安全なのかも。

 さらにアナログなフロント預けだが、確かに安全だが、利用者にとってもゴルフ場にとっても手間と時間がかかる。それゆえ、ロッカーによほど不信感のある人か、多額の現金等を持参した人以外、利用者が急増するとは考えにくいようだ。

 利用者に案外変化がなかったことについて、前出の森川支配人は「今回の事件は支配人がグルになった、あくまで特殊な例ですからね。だから一般の危機意識にはつながらなかったのかも知れませんね」と推測する。

 また、別の支配人も、「まだ他人事と思っている方が多いようです。お客さんの中には『あんな事件があったばかりだから、どのゴルフ場もハウス内での盗難には神経を尖らせているだろうから、今が一番安全だろう』と言われる方も……」と語る。

 実際、今回の事件をきっかけに、ゴルフ場側では、貴重品ロッカーをフロントからより監視しやすい位置に配置換えしたり、防犯カメラを増やす動きがある。

 それでも、安全を他人任せにするのは考えもの。せめて、無駄な大金を持ち歩かないことや、暗証番号は使い分けといったリスク管理は必要だろう。そこで、今が来場者に注意を促すいいチャンスととらえ、対処を始めたところもある。

「うちも、フリーボックス(貴重品ロッカー)に暗証番号の入力には安全を確認するなど、注意を促す張り紙を出しました」(前出・森川支配人)

 というのも、今ならこんな張り紙を出しても「例の事件があったから」と素直に読んでもらえるが、これが事件前だと「さては、ここのロッカーで盗難事件があったな」と勘ぐられるので、張り紙も出しにくかったというのだ。

 ゴルフ場がどんなに安全に務めても、安全の最後の鍵は本人の防犯意識。しかし、その意識が薄まるのが、ゴルフ場の現実のようだ。

「安全のため、サイフをロッカーには預けず常に携帯する人がいますが、そんな人に限って、お風呂の脱衣所で服を脱ぐ際にポケットのサイフを確認するんです。ドロボーにしてみれば、サイフの在りかを教えてもらっているようなもんですよ」(某支配人)

 リスク管理意識の薄さを反省すべき人も少なくないのでは?

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