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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/7
2004年更新
生中継なら「失格」はなかったかも?
横峯さくら過少申告とTV放映の課題
 予選落ちだと思って落ち込んでいたら、それどころか過少申告で失格してしまったルーキー、横峯さくら。この事件に、首をかしげたゴルファーが意外に多かったため、競技成立とテレビ中継の関係を含めて検証してみよう。

 雷雨で初日が中止となり、36ホールに短縮された伊藤園レディス。翌日仕切りなおして行われた第1ラウンドで、ショット、パットとも不調だった横峯は、5オーバー77を叩き、プロ転向後のツアー競技6試合目で初めて予選落ちしたはずだった。


横峯さくら
 ところが、その後、録画で放送されたテレビ中継を見た視聴者が、横峯の17番ボギーパットを見て「ボールが動いた」と指摘。連絡を受けた競技委員会が、VTRで検証すると、約70センチのボギーパットを打とうとアドレスに入り、パターをボールにセットした際にボールに触れ、約1センチカップのほうに動いていた。

 横峯本人とマーカーの福嶋晃子に確認すると、横峯はスコアが悪かったこともあり「記憶にない」と話したが、VTRの事実を受け入れた。

 本来なら規則18-2により、1打罰でリプレースしなければならないところ、これを怠ってホールアウト。その際の2打罰を付加してスコアを提出しなければならなかったが、気付いていなかったためにそのままアテストしてしまい、過少申告で競技失格となった。

 ところで、ここでゴルファーが混乱しやすいのが競技成立のタイミング。今回も、ホールアウトから3時間後ということもあり「競技が成立しているからいいのでは?」という疑問の声が上がったが、これは間違い。36ホール競技となったこの大会の場合、そのすべてが終了しないと競技成立とはならないからだ。

 競技成立後でも失格が適用される場合がある(規則34-1-b)が、これは、プレーヤーが反則の事実を知りながら、罰打を加えていなかった場合、合意の反則があった場合で、今回の件はそれにはあたらない。

 ところで、日本に限ったことではないのだが、テレビ中継を見た視聴者が、プレーとその処置に疑問を持って大会側に連絡し、ペナルティが科されたり失格となるケースが年々増えている。

 もちろん、優勝争いに加わっていたり、横峯のように注目選手として画面に映らなければこの対象にすらならないわけだが、ここで明暗を分けるのが、テレビの放映時間だ。

 日本では一部トーナメントで土曜日に生放送をしている他は、ほとんどが録画中継だが、米国などでは、生中継が主流となっている。この違いが、場合によっては選手にとって大きく影響することがある。

 横峯のケースは17番だったため微妙だが、それでも、生中継を見た視聴者がすぐに大会に連絡し、本人のアテスト時に間に合えば、現場で競技委員が確認して2打罰を加え、失格は免れたかもしれないからだ。

 こんな風に選手にとっての都合以上に、生中継はファンにとっても望ましいのである。近頃ではインターネットの普及で大会やツアーのページでスコア速報が見られるが、これがなぜか録画のテレビ中継に合わせて途中でストップされるという信じられない事態が日本では男女共に続いている。

 すべては視聴率至上主義から来る強引な論理だが、そこにファンが不在なのは言うまでもない。これもほとんどのトーナメントでテレビ局が主催者、もしくは協賛スポンサーとなっている弊害と言えそうだ。

 いずれにしても、本来なら現場にいた人間に限られるはずの局外者の目が、現状ではテレビという媒体を通して何百、何千倍以上も増やされているためにプレーに対する目が一層厳しくなっている。プレーヤーたちはこれまで以上に自分に厳しく、また同伴競技者のプレーにもキッチリと目を向ける必要がありそうだ。

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