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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/12
2004年更新
ヤーデージブックに頼らず感性で勝負する
スーパー中学生・涼太くんと回ったプロの反応
 14歳の伊藤涼太(白鳥中2年)が先のサントリーオープンで最年少記録(手嶋多一の15歳11ヵ月19日/84年日本オープン)を更新し予選通過を果たしたのは、大きな話題を呼んだ。続くANAオープンでは惜しくも予選落ちしたが、その実力は折り紙付き。7月の日本アマで準優勝、8月の全米アマでも予選を突破して本戦出場、決勝トーナメントにコマを進めるなど、世界での活躍も目を引いた。そんな「驚異の14歳」を周囲のプロはどう見ているのだろうか?


素顔はあどけない14歳
「14歳だから、中学生だからと“イロモノ”的に騒ぎ立てるのはやめたほうがいいかもしれませんね。もっときちんと一選手として取り上げるべきです」と言うのは宮本勝昌だ。

 宮本はサントリーの3日目に一緒に回り、涼太から「ボギーを打っても落ち着いて淡々とプレーする宮本さんに感動した。見習いたいと思った」と言われている。

「僕のことを良くコメントしてくれて、いい少年ですね(笑)。でもそれは関係なく彼はいいものを持っています。ジュニア特有のインパクトで跳ね上がるようなクセがなく、華奢な割に体の芯がしっかりしている。このまま順調に伸びていけば凄いプレーヤーになると思いますよ」

 宮本はこれまで「プロの試合で高校生が予選を通ることはほぼ100パーセントあり得ない」と思っていたのだとか。まして中学生なら「ノーチャンス」と信じて疑わなかった。

「だってスポーツで、ゴルフほどプロとアマの実力が違う世界はないんですから。野球は高校卒業した途端プロで投げても勝つことができるけれどゴルフは違う。ゴルフには技術以上のもの、たとえば経験やゴルフ年齢が必要なんです」(宮本)

 その厳しい世界でまだ14歳の少年が予選を通ったということは、つまり涼太の実力がずば抜けているという証拠ではないか。「マジ、上手かったですよ。ショットもアプローチも上手い! 飛距離も十分でしたよ。向こう(涼太)が最後3パットしてやっと僕と同じスコアですから」と笑うのは最終日に同じ組でプレーした宮里聖志。

 秋葉真一も「思い切りがいいし、ショットのキレもいい。僕と一緒に回ったときは、スタートホールでダボを叩いたんだけど、慌てずすぐに立て直して来ましたからね。アプローチやバンカーなど、小技が上手いね」とベタ褒め。

 アプローチといえば2年前、小学生としてはじめて日本アマに出場したとき、グリーンを外しながら絶妙のアプローチでパーを拾いまくる涼太くんに、周囲の大人は面喰らってペースを乱されたものだった。プロが中学生と回ることで、複雑な心境にはならなかったのだろうか?

「回りにくい? そんなこと全然なかったですよ。あれっ、素振りは? と思った次の瞬間にはもう打ってる。気持ちいいくらいプレーが早い。テンポがいいから逆にやりやすかったくらいですよ」(秋葉)

「中学生だからどうのこうの、という意識は全くありませんでした」(宮里)

「あれだけギャラリーがいたから、彼はやりにくかったと思うけど、バーディを獲るとちゃんと帽子のツバに手を当ててお辞儀してましたし、マナーも良かったですよ」(宮本)

 宮里聖志の帯同キャディ、ジョー・エドワーズは感慨深げにこうつぶやいた。「ボクはヤーデージブックを作って選手たちに提供しているんだけど、涼太はプレー中、ほとんどヤーデージブックに頼らないんです。自分の感性だけでプレーする彼を見て、ゴルフの原点を思い出させてもらったような気がします

 宮本が続ける。「タイガーが出て来てからゴルフ界も低年齢化が始まったと言われていますよね。でもタイガーは20歳の頃、たぶん精神年齢は30歳くらいだったと思うんです。涼太クンも14歳だけど、20歳ぐらいの精神年齢なのかもしれませんね」

 当の本人は予選通過に関して、こう言った。

「素直にうれしかったです。全米アマのコースの方が長くて難しかったから、日本ではボギーを叩いてもいずれバーディが来るんじゃないか、って思えました。もっと練習して、もっともっと強くなりたい」

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