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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/17
2004年更新
全英シニアOPではカイトら強豪を振り切り
無名のクラブプロ、P・オークレーが優勝
 希望の星がまたひとり誕生した。全英オープン優勝のT・ハミルトンは、無名といっても、日本では知られた存在だったが、全英シニアオープンのピート・オークレイは、まさに無名選手といって過言はないだろう。

 なにしろ過去の優勝歴といっても、全国レベルではアメリカのクラブプロだけが参加するPGAクラブプロ選手権で99年に勝ったことがあるだけ。米シニアツアーのQスクールに落ちること4回。シード権もない選手が、なんと予選会から出場権を得て、メジャーの全英シニアオープンに優勝してしまったのだから、注目されるのも当然といえるだろう。

 本人でさえ「まだ(最後のパットの)ボールが沈んでいないようだ。まだ何が何だかわからず、今回の優勝をちゃんと考えようとしているところ」などと語るほど。メジャーの最終組でラウンドしたことについても「まさかこんなことになるとは思っても見なかった。月曜だったか火曜日だったか、20名の出場枠を巡って、132名が競った予選会のときのほうが神経質だった」などと、記者会見に馴れていないせいもあり、予選会の曜日まで忘れてしまうほどアガってしまっていた。

 しかし、試合内容は、アイルランドの目まぐるしく変わる天候の中、トム・カイトと、7月17日に50歳になりシニア入りしたアルゼンチンのエドワルド・ロメロを1打差で抑えての堂々の勝利。メジャーだけに、トム・ワトソンをはじめ、日本からも青木功や海老原清二らそうそうたるプレーヤーが集まる中、生涯獲得賞金が1億ドルを超すカイトを抑え、生涯獲得賞金が10万ドルにも満たないオークレイが優勝したのだ。

 しかも、55歳のオークレイは、アメリカのデラウェア州で、グリーンフィが60ドルといういかにも庶民的なパブリックコースのクラブプロを務めている。もっとも、このコースはオークレイが投資家などを集めて、自らコース設計などにも参加して作ったパブリックで、経営者のひとりにもなっているのだが、今回の全英シニアオープンの優勝賞金29万5212ドルで「やっと借金がなくなるし、子供の学費も払っていける」とか。

 ただ、オークレイの「シンデレラ・ストーリー」が、多くのゴルフファンから注目と共感を集めているのは、彼の庶民性ばかりではない。通常、シニアツアーというと、優勝者は50歳から55歳くらいまでで、55歳の初優勝というのが、非常に珍しいからでもあるのだ。

「若いときに、レギュラーツアーにも挑戦したが、1973年か74年に、自分の実力が、とても及ばないことを悟った。シニアツアーでも、4年間挑戦して同じようなことを感じ始めていたところで、兄が欧州シニアツアーに出ていることから、Qスクールを受けることを薦めてくれたんだ。それで昨年11月に欧州シニアツアーのメンバーになったが、海外に出て自分が成長するのに手応えを感じた。メンタル面では、以前よりも強くなった」とかで、まさにこの1年で大きく成長していたのだ。24年間、PGA・オブ・アメリカのメンバーとして、コースの運営やレッスンなどを行ってきたオークレイが、一念発起して、海外の異なった環境の様々なコースや天候の中で、プレーすることによって新たなゴルフの地平が開けたということなのだろう。55歳になっても、ゴルフはまだまだうまくなれる。このことを実証したオークレイに、ゴルフファンは魅了されたともいえる。

 そう言えば、話は異なるが、先の7月初旬のシニアプレーヤーズ選手権では、M・ジェームズが、ヨーロッパ人としては、初めてアメリカのシニアのメジャーを制している。また、T・ハミルトンに続き、翌週の米ツアーでは、C・フランコが優勝、2週連続、日本ツアー出身者が、勝利を飾っている。ある意味では、米ツアーだけでなく、世界を股にかけて、様々なコースでプレーをするインターナショナルな選手が活躍をしているということになるわけだが、2度あることは3度あるで、次のメジャーでの優勝は、日本人選手ということにはならないだろうか?

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