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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/29号
2004年更新
良品安価をモットーに3年前にオープンの
アメリカン倶楽部、年商30億円に急成長
 たとえばスターバックスカフェがそうだったように、派手な宣伝なしに、いつの間にか全国展開を成し遂げる例がある。3年前の5月に栃木県小山市に第1号店をオープンさせた「アメリカン倶楽部」というショップが、以降、倍々ペースで急成長。気が付けば、全国に32店舗を展開し、年商も30億円規模にまで拡大。大手クラブメーカーも無視できない存在になりつつある。

 アメリカン倶楽部はすべて直営店で、全国主要都市を中心に既に32店舗を展開している。だが、売場面積が平均30坪ほどと小規模なうえ、宣伝広告をほとんど行っていないため、まだ「知る人ぞ、知る」存在だ。

 しかし、とにかくクラブが安いのだ(商品はクラブとヘッドカバーだけ!)。ドライバーは1本4935円から、上限で3万450円まで。アイアンセットも10本組なら2万9400円~5万1450円。にもかかわらず、シャフトは国内の一流メーカー品。ヘッドも現在主流の素材を、中国の大手工場で作らせているという。それを栃木県の自社工場で組立て、すべて直営ショップで販売。いわゆる製販一体で、極力在庫を抱えないよう生産管理し、さらに宣伝広告費をかけないことで低価格を実現している。

 同店を経営するイーエムシーは、もともとオーダーメイドや大手ブランドのOEMで、30年ほどのクラブ製造の歴史を持つ会社。しかし、このところの業界の不況を生き抜く道として、このような「良品安価」の直販事業に乗り出し、成功を収めつつある。

「とにかく値段が安いので、ダメモトで買われたお客さんが、実際使ってみたら意外にいいクラブなので、以降リピーターになるケースが多いんです。それと、その“意外感”から周りに自慢、紹介したくなるんでしょうね。リピーターと口コミ客がほとんどです」(生産本部・砂川良平氏)

 この価格設定により、顧客ひとりひとりにかける時間が少なくて済み、販売の人件費を抑制できるメリットもあるという(各店舗の社員は1名、残りはアルバイト)。逆にいえば、高額クラブの販売は説明や試打などに時間と手間がかかり、効率が悪いということなのだろう。

「年内に40店舗。来期は50店舗で60億円の売上げを見込んでますが、場合によっては、さらにプラスがあるかもしれません」(砂川氏)

 それほど順調なら、利幅の大きな高額商品にも手を出して良さそうなものだが、現在の価格帯を超えることはないという。実は、同社も先ごろカーボン複合ドライバーを開発し、販売を始めたのだが、その値段はやはり1万9950円。今後どのような高機能クラブが現れようとも、同社の場合はまず価格あり。現価格帯の範囲で開発できることが前提となるそうだ。

 ところで、同社のこの勢いに対し、大手メーカー側には、いわゆるセカンドライン、サードラインで、同価格帯に力を入れる動きはあるのだろうか?

 8万円台のゼクシオ・ドライバーが好調なSRIスポーツの藤田英明氏(広報部)は「当社では、ハイブリッドのドライバーが実売価格3万円台の低価格帯で、開発・販売にも力を入れています。さらに安価なDDH-Vシリーズもありますが、動きは余り良くありません。今のところ、このクラスに新商品を投入する予定もありません」と様子見のようだ。

 また、「ゴルファーのなかには、安価でいいクラブを“掘り出しモノ”と自慢する人が少なくない。たしかに高価なクラブを使っているのに腕前が伴わないとカッコ悪いですしね。それでウケた部分もあるのでは? それと中古ショップの買取で不利なことがどう評価されるのか。今後の動きはまだわからないのでは」という見方をする関係者もいる。

 いずれにしろ、安くてイイものなら、ゴルファーにとってありがたいことこの上ない。果たして、アメリカン倶楽部の快進撃はどこまで続くのだろう。

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