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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/11・18号
2004年更新
会員権売却時の損益通算廃止の動きに
ゴルフ場経営者団体が反対、署名運動開始
 ゴルフ場経営者の集まりである日本ゴルフ場事業協会(NGK・森川美幸理事長)が、ゴルフ会員権売却時の損益通算廃止に反対、署名活動を開始した。4月末までに事業者の、また6月末日までにゴルファーの反対署名を集め、財務大臣に提出する予定だ。

 損益通算とはゴルフ会員権の売却時に損失が出た場合、他の所得と相殺して申告できる制度で、節税対策として利用されてきた。しかし、3月1日、読売新聞が財務省の所得税法の改正を報じたため、業界に波紋を与えていた。改正の内容は、ゴルフ会員権を投資対象のぜいたく品とみなし、リゾートマンションや骨董品など同じように、損益通算の対象から外す方針、というものだ。

 これについて、NGKは「ゴルフ会員権をぜいたく品とみなし、また不公平税制となることもさることながら、私どもとしてはゴルフ場経営、ゴルフ文化そのものに影響があると懸念している。償還問題はようやく沈静化してきたが、多くのゴルフ場では会員の皆様に返還を順番で待って頂いているのが現状だ。だが、この損益通算がなくなれば償還問題が再燃、ゴルフ場経営も成り立たなくなりかねない」(事務局)と主張。現在、日本全国の約2400コースに署名用紙を送り、ゴルファーについては10万人規模の署名を目標にしている。

「法人は損金で落とせるのに、個人には認められなくなるというのも矛盾しているし、売却益には課税しながら、売却損には税の軽減がないのは税の不公正を助長するものだ。また、今やゴルフは国民スポーツであって、ゴルフ会員権はぜいたく品との認識も誤っている」(NGK事務局)としている。

 今後はJGA(日本ゴルフ協会)や全国の会員権組合など諸団体、自民党のゴルフ振興議員連盟(ゴ議連)や党税制調査会にも働きかけていく方針だ。

 これについてゴ議連の衞藤征士郎新会長は「損益通算の現状維持をゴ議連の主要な活動方針として決めている。ゴルフ場利用税、公務員の倫理規定でのゴルフの明記と並び、スポーツであるゴルフを不当に差別するものだ」としている。

 さらに関東ゴルフ会員権組合も「まだNGKから正式な要請がない段階だが、全国の連絡会ではNGKに協力していく方針が申し合わされた。返還請求が増え、ゴルフ場が窮地に立たされれば、会員権市場にも大きな影響を及ぼすのは必至」(同事務局)とする。

 もっとも会員権業者は、冷ややかに見ている、というのもまた現実である。損益通算廃止の所得税法が改正されれば、平成16年の年末時点での所得が対象になる。そのため今年中に売却しなければ、損益通算の恩恵が受けられないわけで、ある会員権業者は「年末になると、損益通算を売り文句にPRしてきた業者はたくさんいる。この改正を逆にビジネスチャンスととらえる業者がいても不思議ではない」と話してくれた。

 だが、年末にかけて売り物件が増加すれば、ようやく堅調な動きを始めた会員権相場が再び暴落する危険はないのか?

 これについて、前出の会員権業者は「すでに損益通算による節税目的の会員権は出尽くした感もある。とくに若い世代の購入意欲が高まっているだけに、一時的に下落したとしても、長期的に見れば会員権相場が正常になるチャンス」と前向きな考えを示した。

 しかし、一方で、別の会員権業者は「はたして損益通算が、それほど認知されたシステムだろうか? 出尽くしたといっても、まだ価格が暴落した会員権を持っている人は意外といるのでは。一時的とはいえ、今年の年末に売りが集中すれば、せっかくこのところ見直されつつあるゴルフ会員権の信用が、また落ちてしまうのではないか」と、危機感を募らせる業者もいる。

 ともあれ、ひとつだけいえることは、株価の上昇、企業業績の好転もあるが、プレー重視の個人需要が高く、それが会員権相場はバブル崩壊後、初めて堅調な動きになっていることだ。損得やお金の問題ばかり注目されるのではなく、スポーツとしてのゴルフを語る時代になって欲しいものである。

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