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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/17号
2004年更新
イラク戦争と米国ゴルフ界の微妙な関係
キャロウェイは予備役軍人の社員を厚遇
 先のボブホープで18カ月ぶりに優勝したP・ミケルソン。D・デュバルとともに、深刻なスランプの要注意リスト? に入っていただけに、今回の優勝は、大きな注目を集めたが、それにはただ彼が優勝したからというだけではなかったようだ。

「調子が良くなっているようにも感じてはいたけど、徐々にだけど自信が先細りする感じもあった。でも、練習の成果がこんなに早く出るとは思ってもいなかった」と語るのは、ミケルソン本人。もちろん、復活を目指しての努力も見逃せないのだろうが、今回の優勝に関しては、ギャラリーを見方に引き込んだことが大きいとの声もある。

 プレーオフの相手だったのが、まだ優勝経験のないS・ケンドールということもあっただろうが、実はミケルソン、試合前に「バーディを獲るたびに100ドル、イーグルなら500ドル」を『スペシャル・オペレーション・ウォーリヤー・ファンデーション』に寄付すると語っていたのだ。この基金は、特別な軍事作戦などに従事して命を失った軍人の子供たちに奨学金を与えるもので、ミケルソンは今年いっぱい米ツアーで続ける予定という。今回のボブホープでは、72ホールで、なんとツアー記録の37バーディ、つまり3700ドルを寄付したというわけだ。

 イラク戦争と復興活動が泥沼化する中で、イラクでの軍事活動の是非については、いまだに論議が続いてはいる。しかし、その是非はさておき、少なくともすでに戦場に駆り出されてしまった軍人に対しては、無事帰還することを願う声は非常に大きい。そうした中で、政治家の都合で派兵されてしまった軍人やその家族たちに対しての寄付などは、アメリカ人の感情に訴えるものがあり、この寄付でミケルソンは多くのギャラリーを味方につけるのに成功したともいえるのだ。

 そう言えば、もうひとつ、クラブメーカーのキャロウェイが昨年末に支給したボーナスが話題を集めていた。ミケルソンの寄付とは異なるが、実は、昨年2月までキャロウェイで働き、現在イラクで活動する34歳の女性に対し、同社が年末に給与全額をボーナスとして支払ったというのだ。日本ではわかりにくいかもしれないが、アメリカでは予備役軍人の制度があり、普段、国から一定額の給与を受け取る代わりに、いざ事があると、有無を言わさずに徴兵されるという制度がある。つまり、普段は、一般の会社に勤めていても、徴兵された場合、軍人として従事しなければならなくなる。帰国すれば、再び勤めていた会社に復帰することがほとんどだが、その間の給与は、当然ながら支払われない。

 ところが、キャロウェイでは「あなたのアメリカ軍での民主主義と自由を守る活動に対して感謝するとともに誇りにも思う」(R・ドラポー会長)といった手紙をこの女性に送付するとともに、もし彼女がそのまま働いていた場合に稼ぐであろう給与を全額支払ったのである。

 現時点でのアメリカ最大の関心事は、イラク問題と大統領選。これに関連する話となれば、マスコミは大きく取り上げる。加えて、アメリカのゴルファーは、一般に金持ちや大企業を優遇する共和党の支持者が多く、ブッシュ大統領を筆頭に、共和党の政策を支持している分には、ゴルフ業界では宣伝効果が大きいということなのかもしれない。ただ、アメリカの外交態度に反対する国においては、宣伝どころか逆効果になるような気がしないではないが……。

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