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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/9号
2003年更新
会社更生後、ローンスター系になった地産
東京地裁が旧経営者に賠償責任ありの決定
地産に会社更生手続きの終結決定が下りる3日前の11月10日、東京地裁は地産の元社長・竹井博史氏と、弟の元専務・竹井博康氏の2名に対し、なんと14億円を超える損害賠償責任ありとする決定を下した。

 昨年8月26日の会社更生法申請から1年3カ月。国内で16コースを運営する地産は、10月末にスポンサーのローンスターグループから40億円の出資払い込みを受け、債務の大半を弁済したことから11月13日付で手続きの終結決定を受け、管財人管理の会社から、晴れて“普通の会社”に戻った。両竹井氏への今回の東京地裁の決定は、会社更生法72条で定められている『損害賠償請求権の査定を求める申立』という手続きに則ったもの。この手続きは、会社を倒産に導いてしまった旧経営陣の責任を問う手続きで、最近ではマイカルの旧経営陣も同じ訴えを受けている。管財人が責任ありと判断した旧取締役に対し、会社に対する損害賠償を請求してもよいかどうかの判断を裁判所に仰ぐもので、今年8月に両竹井氏に対して申し立てられていた。

 竹井博史元社長の趣味である刀の鍛冶場の建築工事代金1245万円、同じく竹井元社長が実父の竹井心泉氏(本名・竹井博友氏=故人)に対し、心泉氏の役員退任後も給与名目で支払った2040万円、それに当時グループ会社のひとつだった東証二部上場のヒラボウ(現・BSL)に対し、子会社支援名目で支払った14億6065万円で、計14億9350万円が、両竹井氏が地産という会社に与えた損害額だというのが管財人側の主張で、東京地裁はこの主張を全面的に認めたわけだ。

 この問題は、申立が成された今年8月、一番ウェートが大きいBSL関連の約14億6065万円について、「ゴルフ場や不動産の管理など、架空の業務委託費名目だった」ことが、全国紙で報じられたため、相手方のBSLが憤慨、「業務委託は正規のもので、受注に関しても入札で決まったもの。この当時受けた国税の定期調査でも適正な取引であると認められていた。架空だなんてとんでもない」として怒りのプレスリリースを各証券取引所に流していた。

 当事者のひとりである竹井博康元専務は現在BSLのCEOでもある。しかし、今回の決定はあくまで両竹井氏個人に対し、損害賠償の請求を許可するものであって、BSLに返還を求めることを認めたものではないが、「架空取引の相手方だと言われるのは心外」(BSL)というわけだ。

 また、今回の決定に対し、不服があれば1カ月以内に訴訟を起こして対抗することができるので、「現段階では2人が訴訟を起こすかどうかは聞いていない」(BSL)というが、何もしなければ損害賠償請求されてしまうのだから、当然訴訟に突入することになる。

 ところで、万一最終的に両竹井氏が損害賠償金を支払うことにでもなったら、そのお金はどこへ行くのだろうか。債権者であった会員も少しは返済金が増えるのだろうか?

「会社が旧取締役に請求しているものなので、株主代表訴訟同様、会社のものになります。もっと早い段階でやっていれば別ですが、債権者への返済はもう済んで更生手続きは終結していますから、もし仮に15億円とれたとしても、更生計画を変更して債権者に分配するということはありえません。その分は“正常な会社”に戻った地産のお金、ということになるでしょう」(倒産法に詳しい弁護士)

 一代で地産グループを築き上げながら、大物仕手集団との関係が取り沙汰されたり、脱税で逮捕されたり、バブル崩壊後は株式投機失敗で巨額の債務を抱え、地産を倒産に導いたのは創業オーナー、竹井博友氏だ。しかし、その博友氏も今年7月にこの世を去った。ゴルフ場経営そのものは堅調だったとの評判があった同グループだけに、今回の一件が事実だとすると、まさにオーナーの私利私欲に会員が翻弄された典型的なケースと言えるだろう。

 ローンスター・グループをスポンサーとする更生手続きの終結で会社としての法的な後始末はついたが、最後の後始末が付くにはまだ時間がかかりそうだ。

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