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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/12号
2003年更新
選手同士がスコアカードを間違えて失格
全英OPで起きた前代未聞の悲劇の波紋
 全英オープンの3日目に起こったスコア誤記事件が、その後の波紋を呼んでいる。今年の全英オープンは、初日1番ホールにおけるT・ウッズのティショットのロストボールに始まり、無名のベン・カーティスの優勝に至るまで、波瀾続きの展開となった。中でも、この非常に珍しいスコアカードの取り違えは、失格となった2人のうち、マーク・ローが、優勝争いに加わる成績だったこともあり、後味の悪い結果として、記憶されることになった。

 事件のその後の顛末を語る前に、念のためコアカードの記載、提出方法について説明しておこう。一般に公式競技では、同伴競技者のひとりが自分のマーカーとなり、そのマーカーが自分のスコアをつけることになっており、それをホールアウト後に、マーカーから受け取り、スコアを確認をした上でサインをして、スコアラー(競技委員)に渡すことになっている。通常、プロの試合では、スコアカードの下側が切り取れるようになっており、同伴競技者のスコアをつけると同時に、切り取る部分に自分のスコアをつけ、アテストする際に、自分のスコアがチェックしやすくなっている。

 日本や米ツアーでは、1番ホールのティグラウンドで、競技委員がスコアカードを渡す際、選手本人用のスコアカードではなく、その選手がマーカーをつとめる選手のスコアカードを渡し、そのまま相手のスコアをつけることになる。ところが、今回の全英オープンもそうだが、欧州ツアーでは、いったん選手に本人用のスコアカードを手渡し、それを同伴競技者と交換するという手続きを取っている。

 今回の事件は、その1番ティでお互い「相手と握手はしたけど、スコアカードの交換をし忘れた」(M・ロー)ために起こったもの。つまり、ローは自分のスコアカードに、同伴競技者であるJ・パーネビックのスコアを記入して提出してしまい、パーネビックはその逆をしてしまったのだ。この日、実際にはローは67で回り、パーネビックは81。当然、パーネビックは過小申告となったが、ローのほうも、18ホール中1ホールだけパーネビックより悪いスコアで上がっていたため、同様にやはり過小申告で失格となった、というのが事件の真相だ。

「自分としてはスコアが良かっただけに、間違わないように、十分に時間を取って、3回もチェックして、その上で、競技委員にスコアを読んでもらって、再度確認をした。まさかスコアカードそのものが違うなんて、夢にも思わなかった。アテスト小屋から出て、テレビのインタビューを受けているときに呼び戻されたときも、自分のスコアカードに間違いがあるとは思いもよらなかった」とローは語っている。

 通常、ツアーではアテスト小屋(エリア)を出る前であれば、スコアカードを競技委員に手渡した後でも、書き替えは認められる。つまり、選手がアテスト小屋を出る前に、競技委員がスコアカードの取り違えに気がついて指摘するなり、あるいは、こうした間違いをプレーヤーに気付かせるような質問をしていれば、こうした悲劇を防ぐことはできたかもしれない。

「我々は、絶対安全な手続きを踏んでいると思っていたが、明らかにそれは間違いだった。悲劇は、それに対するペナルティが、非常にシビアだったことだ。アテスト小屋での手続きの方法が今後見直されることは間違いがないだろう」と語ったのは、R&Aのルール担当責任者であるD・リックマン氏だが、とくにルールを改正しなくても、スコアカードの受理手続きの変更によって、こうした悲劇を回避することができるとしている。

 例えば、「『これはあなたのスコアカードですか? これはあなたのサインですか?』といった質問を競技委員がすることによって、こうした悲劇を回避する有効な手段になるのではないか」(前出・リックマン氏)というわけだ。

 パーネビックに言わせると、「全く自分たちのミス。ローに対しては申し訳ないとは思っている」と反省の色は見せたものの、「いまだに今のような形のスコアカードのルールが残っていること自体、理解に苦しむよ。世界中の誰もが、私たちのスコアを知っているし、誰もスコアをごまかそうとしているわけではないのに……、ルールが古すぎるよ」と形式に偏重? するルールの在り方に疑問も呈した。

 日本でも、先ごろ伊沢利光が同伴プレーヤーのスコア記入を間違え、相手の選手がその間違いに気づかず失格し、話題となったばかりだが、こうした悲劇が起こらないようにするためにも、そろそろ、スコアカードに対するルールそのものを見直す時期に来ているのかもしれない。

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