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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/22号
2003年更新
世界を席巻する韓国女子勢、母国ツアーの
実態は? 参戦した日本人プロに聞いた

 女子プロゴルフ界で、今一番元気のいい国と言えば、もちろん韓国だろう。今や日米両ツアーで常に韓国人選手が、毎週のように優勝争いに加わっていると言っても過言ではない。しかも、この国からは有力新人が次々と輩出されている。では、その母体・韓国女子ツアーの実力はどれほどのものなのだろう。先日、同国ツアーに招待選手として出場した日本選手に話を聞いてみた。

 日本選手が出場したのは、6月25~27日(水~金曜日)にソウル郊外のレイクサイドCCで開催された「パラダイスレディスインビテーショナル」(出場108選手)という大会。日本からは今季シード選手の前田真希をはじめ、新井敬子、山名悠喜、祖父江歩の4人が招待されて出場した。

 関係者によれば、今回は韓国の主催者から直前になって申し込まれたようだ(最終決定は2週間前)。ちょうど女子ツアーの空き週だったが、あまりに直前だったので、日本の女子プロ協会では派遣をはかる時間がなく、今回は個人参加だった。

 また、残念ながら最終日は豪雨のために競技が中止。2日目までの成績で順位が確定している。

 さて、日本から参加した4選手だが、全員が予選を通過。決勝ラウンドへ駒を進めることができた。中でも、一番成績が良かったのが山名。初日71、2日目68の計5アンダーで11位タイの成績。その山名が現在の韓国ツアー、そして韓国ゴルフの熱気を象徴する話をしてくれた。

「2日間とも、私の組は20歳そこそこじゃないかな、とても若い選手たちで、キャディは全員、彼女たちの父親でした。たぶんジュニアの頃から父親に指導されているという感じでした」

 パク・セリは父親のスパルタ教育でゴルフを指導されたという。「第2のパク・セリ」を夢見る彼女たちも、同じように父親に率先されてゴルフに取り組んでいるのだろうか。それともまったく別の事情から、父親がキャディをしなければならなかったのだろうか。

 ところで、その彼女たちの実力だが、山名は「目を見張るような強い選手はいなかったですね。日本ツアーと比べると、全体にまだ下かな。でも、それは経験不足からくるものかもしれませんね」と語る。

 彼女が所属する事務所のスタッフで、数年前から韓国のプロゴルフツアーを視察しているという森野統司氏は、「韓国では最近急速に、運動能力に優れた、いわゆるアスリートタイプ、パク・セリのような筋肉質や背の高い選手が多くなりました。確かに技術面では日本ツアーに劣りますが、それは試合数が少ない(ツアーは年間15試合程度)からでしょう。彼女たちの眼には、パク・セリを目ざす情熱、力強さを感じます。それと試合数が少ないからでしょう。プレーを最後まで諦めない、しつこさに感心させられますね」と分析する。

 実際、今回優勝したチョン・ミジョン(21歳)というプロ2年目の選手は、175センチ、73キロという堂々とした体格。小・中学時代はローラースケートで将来を嘱望されていたそうだ。今大会では初日67、2日目に国内ツアー記録の11アンダー、61と大爆発しての逆転優勝。

 初日67を出し、27位に入った新井敬子は、「何となく個性的なスウィングの選手をイメージしていたんですが、シンプルなスウィングで、ジュニア時代にちゃんと基礎から習っているなと思わせる選手が多かったですね。それが意外でした。将来性を感じさせる若い選手は確かに多いです」と感想を語る。

 ちなみにこの試合、日本ツアーではトップクラスの実力者、コウ・ウスン、ク・オッキらの韓国人選手も参加していたが、そんな中で、優勝者以外にも、2位には2日目に63を出した19歳の選手が入り、そのほか初日、単独トップに立った18歳の高校生のプロ(3位)など、確かに大器を思わせる若手が多数いるようだ。

 その一方で、憂慮されるツアーの現実も見られたようだ。

「もともとこのコースには練習場がないのですが、54ホールのゴルフ場ですから、日本の感覚からすれば、練習場くらい何とでもなるはず。ところが、韓国では一般営業を重視。残る36ホールは通常営業をしていたため結局、離れた場所にある練習場にバスで通いました。競技開催日が週末でなく平日なのも同じ理由から。トーナメント運営は、日本の20年くらい前のイメージでしょうか」とは、ある関係者の分析。

 新井敬子も選手の立場から、と前置きしたうえで、「せっかく世界的に優れたプロがたくさん生まれているのだから、韓国のゴルフ界、ツアー界はそうした選手たちの意見をフィードバックさせて、将来の発展につながるようにしたほうがいいと思いました」と語る。

 さらに、この試合の賞金総額は日本円で約2500万円と、ほぼ日本ツアーの半分。だからこそハングリー精神が磨かれ、次々と海外に飛び出し活躍しているという声もある。いずれにせよ、まだまだ今後も新たな強豪が世界に輩出されそうだ。

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