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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/8号
2003年更新
冬季クローズ中の本庄CCが雪解け待たずに
自己破産、未だ営業再開の見通し立たず
 ひとつのコースが3回も破綻するという笑えない珍事が起きた。問題の3回目の破綻の憂き目に逢ったのは、群馬県の本庄カントリー倶楽部。経営会社の(株)本庄カントリー倶楽部が、2月24日、東京地裁に自己破産を申請、3月5日に破産宣告を受けたのだ。

 もっとも3回目の破綻といっても、この(株)本庄カントリー倶楽部が3回も破綻したわけではない。このコースに係わった3つの会社が破綻したということ。まず最初はこのコースを計画し、昭和48年に、このコースの建設許可をとったマンバ高原開発(株)。この時点ではコース名は神流湖CCという名称だったが、昭和51年に破綻してしまったったため、これを引き継いだのが(株)多野ゴルフ倶楽部。コース名も多野CCに変更したが、この会社も破綻したため、経営を引き継いでコースを完成させ、平成2年にオープンさせたのが、今回破産した(株)本庄カントリー倶楽部というわけだ。

 ちなみに、この(株)本庄カントリー倶楽部という会社、コース買収当時は市川造園グループ会長の市川金次郎氏の個人企業だったが、「平成9年に金次郎氏の次男・弘氏が全株を取得、グループから独立して経営にあたってきたので、市川造園グループという位置付けではありません」(同グループ広報担当)。

 会員募集は、旧経営会社2社では行っておらず、(株)本庄カントリー倶楽部が昭和59年頃から実施、会員総数は約2000名。預託金額面は250万円から800万円で総額は約45億円になる。預託金以外にはほとんど債務がなく、民事再生でスポンサーなしの自主再建も可能なのではないかとも思われるが、実際にはこのコースを取り巻く現実は相当厳しかった。

「民事再生ではなく破産を選んだのは、税金の滞納が5500万円もあるため。コースに差押も付けられています。カネはないし、支払えるメドもまったくない。放っておけば税務当局が公売手続きをとるでしょう。民事再生では公売を止められないので破産を選びました」(申立代理人の小畑英一弁護士)。

 公売とは、税務署が行う競売のことで、このコースには金融機関や取引先の抵当権こそ付いていないが、税務当局の差押が付いているので、遅かれ早かれ公売手続きが取られる。

「現在は雪でクローズ中なので、雪解けまでにコースの買い手を見つけられればと考えて」(同、小畑弁護士)の申立で管財人に任せて買い手を探した方がいいということのようだ。

 もっとも、自主再建が困難な決定的な理由は、このコースの経営状態だろう。18ホールのこのコース経営会社の平成14年3月期の売上げはわずか2億3000万円。関越自動車道の本庄児玉インターから40キロというアクセスの悪さに加え、平成13年9月から周辺道路が土砂崩れで半年間も通行止めになるという不運もあったとはいえ、「4年前の平成10年3月期には売上げは4億7000万円あったが、それでも経常赤字が8000万円で、平成7年から4期連続で赤字」(帝国データバンク情報部)と、慢性的に赤字状態にあったことは確かだ。

 その上、雪が多い今冬は「オープン以来、初めて12月からクローズせざるを得ず、とにかくキャッシュが入らなくなってしまった」(小畑弁護士)状態だった。これでは自主再建など無理というわけだ。ところで、気になる今後だが、コースは破産管財人の管理下に入り、雪解けまでに買い手を探したいところではあるが、「買い手には会員のプレー権の保護をお願いすることになると思うが、現時点で買い手の候補は現れておらず、今後どうなるかは買い手が現れて具体的な話にならないとわかりません」(小畑弁護士)。

 それでは、このまま雪解けまでに買い手が見つからなければ、クローズ中のコースはどうなるのかについても、コースを管理している管財人の狐塚鉄世弁護士事務所では「現時点では何も決まっていない」と言う。

 通常、ゴルフ場が破産した場合、使用していないとコースの劣化が進んでしまうので、営業を続けるケースが大半だが、それも一定数の来場者が確保できればの話。

 このコースが再びオープンするかどうかは、買い手がつくまでの間は、管財人弁護士の経営能力にかかっている?

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