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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/31号
2002年更新
USGAで認可されたパターをR&Aが
違反と断定、またまた“二重基準”騒動
 ゴルフ用品におけるR&A(英国ロイヤル&エンシェント)とUSGA(米国ゴルフ協会)の間でのダブルスタンダード問題はドライバーだけではなくなった? スプリング効果問題では、ようやく両者が歩み寄り、ルール統一が決定したばかりだが、今度は1本のパターを巡り、両協会が異なった見解を明らかにした。

 問題のパターは、以前本誌のグラビアでも紹介した、P・ミケルソン使用のタイトリスト・スコットキャメロンの「フューチュラ」だ。

 まだ市販されてはいないものの、すでに米ツアーでは、ミケルソンをはじめ、数名の選手が使用しているが、これをR&Aがルール違反として、禁止したのだ。すでにUSGAは、このパターを認定していることから、米ツアーの選手がアメリカで使用する分には問題ないが、欧州ツアーや日本のツアーでは、使用できない。つまり、現在の高反発ドライバーのように、ダブルスタンダード状態になってしまったというわけだ。

 このパターが禁止された理由は、ゴルフルール4-1aの「伝統と慣習」に反するからというもの。

「このパターヘッドに対する、私たちの全般的な見解は、これが単純な形ではないということだ。(伝統に反するとか、単純な形ではないといった)こうした(主観が左右するような)ケースの場合、つねにどう判断するかが問題となる。しかし、私たちR&Aには、内部規定があり、これによって一定の判断ができるようにしている。確かに、どこに線を引くかは問題で、ルール適合とルール違反との境に近いクラブが出てくると、つねに問題となるが、私たちの目標は、私たちの内規の元になっているゴルフの尊厳を守ることで、今回の判断は、それができたと信じている」と語っていたのは、R&Aの用品・ボール委員会のC・ベイツ委員長だ。

 同じような形状のキャロウェイのホワイトホット・2ボールパターに関しては、ルール適合なのに、フューチュラだけがルール違反と判断されたのは、2ボールパターのほうは「自然な形状で、付け加えられた部分がない」としているからだ。それに対して、フューチュラの方は、3つのデザイン上の構造に問題があるとか。T字型のデザインで、フェースの後ろに3つの穴があり、しかもシャフトが曲がっていることから、ルール違反になるということらしい。

 これに対し、USGAでは、「フューチュラは、すでに認定済みのパターで、この認定を取り消すことはない。私たちは、これまでの前例やさまざまな判断例を照会した。その結果、このフューチュラに似たパターが、これまでにもいくつか認定されているのを確認している」(D・ラギー、USGA・シニアテクニカル・ディレクター)ということで、R&AとUSGAの双方とも、決定を覆す可能性はほとんどゼロに近い模様だ。

 スプリング効果問題では、つねにUSGAの後手後手に回り、最後には反発係数で、新しい数字まで出したり、引っ込めたりと、良いところがなかったR&A。用品のテストセンターを持たないため致し方なかったのかもしれないが、面目がつぶれた分だけ、今回のような「伝統」といった主観的な判断に頼らざるを得ない得意の分野で意趣返しをしているようにも見える。

 それにしてもいい迷惑なのは、高反発ドライバーにおけるダブルスタンダードのとき同様、やはり販売元であるタイトリスト、さらにこのパターを使用している選手たちだ。とくに来年こそはメジャー獲りを、と情熱を燃やすミケルソンにとっても、このパターが全英オープンで使用できないということなのだから、可能性がまたひとつ減ったということにもなりかねない。

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