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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/17号
2002年更新
PGA会長に長田力が就任したが実質は
JGTOと連携図る倉本の傀儡政権との声
 日本プロゴルフ協会(以下PGA)の次期理事、執行部が11月25日の秋期代議員総会で決定した。長田力会長を倉本昌弘、石井秀夫、藤井正五、中尾豊健という4人の副会長が支える新執行部は、2年間の任期で来年1月1日に発足するが、決定当日からすでに不満があちこちからくすぶる一幕もあり、波乱含みの船出となった。

 会長は長田だが、実権は倉本。当日の様子を目の当たりにすれば、誰もがそう感じた新体制のお披露目だった。政策として(1)定款、規定、選挙制度の見直し、(2)組織、体制改革の充実、(3)社会保険の見直し、(4)JGTOとの問題、(5)新規事業の開拓の5点を挙げた長田会長だったが、それぞれについての説明はまだ決して具体的なものとは言えない。もちろんまだ決まったばかりで任期は来年からということもあるが、それでも現在も理事であり、それなりの選挙を潜り抜けてきた会長としてはいささか頼りない感はぬぐえない。

 これを見事に補ったのが倉本副会長だ。とくに懸案のJGTO(日本ゴルフツアー機構=99年にPGAと分裂)問題(後述)については、そちらの最高機関であるポリシーボードのメンバーとかけもちという事情もあり、具体的に説明した上で「双方の確執だと思われているが、このままでは選手やGTPA(スポンサー団体)、ファンが置き去りだ。元(の同一団体)に戻すのではなく)お互いを認め合う形で共同歩調を歩む橋渡しの役をしたい」とフォロー。長田会長も「知恵袋はこっち」と倉本を指すなど、スポークスマンとして、陰の実力者としての存在感は隠しようがない。

 会長決定までの流れはこうだ。全国で14に分かれた地区大会でプロゴルファー(会員)の中から代議員が選ばれ、その中から理事を選出、総会で承認を受けたその理事たちが別室に移り、互選で会長を決定。現体制でも理事を務めている福岡県出身の長田が選ばれた。

 長田は85年に11回目の挑戦でプロテストに合格したが、ツアー優勝経験はなく賞金ランキングも90年の163位が最高。関係者の間でも「どんな人?」と首を傾げる伏兵の会長就任。理事たちが再び総会に戻りこれを報告。総会終了後には、会長選の現場にいた理事も含めて納得いかない表情を見せる者も何人か見かけられた。

 これには深い事情が見え隠れする。実は直前まで内部で“当確”と信じられていたのは、現体制でも副会長で、新体制では最年長の藤井正五。これが土壇場でひっくり返った。理事20人中、10対9(棄権1)の僅差で長田会長が決まったのだ。奇しくも当の藤井が「今日の午前中(現体制の代議員総会)に動きがあったようですね」と漏らすすほどの急展開。反新体制派の危惧は要職をJGTOとかけもちする倉本にひたすら向けられている。

 現在まだ法人格がないため社団法人化を目指すJGTOに対し、管轄省庁の文部科学省が同業種で先駆けのPGAとの間での話し合いを指導したが、これが決裂。JGTO側がかねてより俎上に登っていた認可の要らない有限中間法人化申請を決めたことを総会直前の11月21日にPGAに書面で通告していた。

 倉本は「現在の社団法人も平成17年には省庁のお墨付きがなくなる。今、PGAはJGTOだけを相手にしているが、そうなったら他にも競合する団体がたくさん出てくるかもしれない。そのときのために両団体が歩み寄ってきちんと(管轄の)棲み分けをしておかないと」と説明。これまで平理事としてPGA上層部に説き続けたものの受け入れられなかった経緯をも口にし、副会長として両団体間に新関係を築き挙げていくことを宣言した。

 しかし、PGAの代議員、理事間での“反倉本”感情は根強く「俺たちが持っているもの(既得権)を全部あっち(JGTO)に持ってってしまう」との声も聞かれた。

 双方が納得し、スムーズな運営をしていくのが新会長・長田の役目だろう。それでこそ「傀儡政権」の陰口もぬぐえ、新生PGAとしての道も模索できるはず。現体制より執行部平均で9歳近くも若い新体制の前途にはまだ数々の荒波が待ち受けている。

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