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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/24号
2002年更新
外資系移行後、会員が反発していた嵐山GC
地元オリオンビールが買収、預託金配当増
 外資に突然買収され、潰れてもいないのに倒産会社並みの預託金のカットを通告され、反発したら、会社は民事再生の申立をしてしまった。そんな踏んだり蹴ったりの思いをした会員が、結束して自らスポンサーを探してコースを買い戻し、会社側の提案を上回る預託金返還率の確保にこぎ着けた。

 舞台は沖縄県の嵐山ゴルフ倶楽部。ローンスターグループとドイツ銀行グループの合弁企業であるプレミアゴルフ(株)が経営する5コースのひとつだ。

 西武百貨店グループが保有していた(株)ゴルフ西洋の株式を、ローンスター・ドイツ銀グループが突然買収したのは昨年5月。ゴルフ西洋は嵐山GCの他、美浦GC(茨城)など合計5コースを経営していたが、嵐山GCでもご多分に漏れず預託金償還問題に直面、一昨年秋の時点で会員権の3分割と10年延長で会員の大半と合意に達していた。

 ところが、そのわずか半年後には「会員にひと言の説明もないまま外資に売り払われ、ゴルフ西洋時代に決めた会員権分割や10年延長は中止、預託金の95パーセントカット、残りの5パーセントを出資して株主会員制に移行する、という提案を出してきた。条件を飲まないなら破産や民事再生に持ち込むという態度だった」(嵐山GC会員)ため、会員が猛反発。すると会社側は本当に民事再生を申し立ててしまった。

 同GCの会員組織、「嵐山ゴルフ倶楽部の権利を守る会」は、プレミアとの交渉の結果、今年5月に6億1000万円をプレミアに払って買い取る方向で合意にこぎ着けた。そして、沖縄の有力企業4社にスポンサー就任を打診、最も好条件を提示したオリオンビールに決定、8月30日に基本合意書を締結した。

 ここで注目に値するのは、最終的に会員への預託金返還率が13パーセントになった点だ。退会、継続にかかわらず、一律全会員に額面の13パーセント(総額6億7000万円)を支払い、残りはカット。会員権は預託金返還請求権を外したプレー権のみの会員権として2分割する。「守る会」ではこのプレー権のみの会員権の流通価値を含めれば額面の4割になると見ている。

 このプレー権のみの会員権がいくらで売れるかは仮定の話としても、少なくとも現金で確実に受け取れる部分だけでも13パーセントである点は、十分胸を張れるだろう。プレミア側から出てきた再生計画案は、買収当時に提示していた95パーセントカットよりは多少マシな『退会者には8パーセント、継続会員は10パーセントを10年据え置き後抽選償還』というものだが、その条件をはるかに上回るからだ。

 今回スポンサーに決定したオリオンビールは国内大手4社の寡占状態にあるビール業界にあって、それに次ぐ5位のシェアを誇り、沖縄県内のシェアは6割を握る。年商は200億円ほどの規模で、自己資本比率が8割を超える超優良企業。ちなみに、同社の金城名輝社長は嵐山GCの理事長という関係でもあるが、オリオンビールが今回約12億8000万円もの資金提供を決断した動機は「グループのホテル事業など他の事業との相乗効果を期待して」(同社経営企画室)だという。

 オリオンビールは約30年前に西武グループと折半出資でホテル西武オリオンを設立しているが、西武側からの申し入れで昨年西武持ち分を全てオリオン側が買い取り合弁関係を解消している。ゴルフ西洋の外資への売却については、知らぬ仲ではないオリオンにすら「事前に何の説明もなかった」(同)という。

 ところで、会員組織によるコース買い取りの動きは全国各地で起きているが、どこも難航している。嵐山GCには青森、東京といった県外の会員もいるのに、例を見ない結束力を発揮したことが今回の成功につながったといえるだろう。一般に、「沖縄は本土も含めてヨソ者の資本が入ることを極端に嫌う風土で、地元の結束力は極めて強い」(某上場会社幹部)と言われるが、それだけで得られた成果ではないようだ。

「会員間の意思統一には本当に誠意と根気がいる。我々は34人もいる会の役員の意見統一を図るため、1年間に200回以上の会合を持った」(守る会)という地道な努力の賜だろう。全国各地の会員組織が手本にすべきは、この「誠意と根気」と言えそうだ。

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