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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/17号
2002年更新
地産が会社更生法申請、ゴルフ部門は
黒字計上も、元会長の株式投機失敗が原因
 国内14コース、海外2コースを展開するゴルフ場経営会社としては大手の(株)地産(竹井博史社長)が8月26日、東京地裁に会社更生手続の開始を申立て、事実上倒産した。

 負債総額は実に3200億円。大手ゴルフ場経営会社の倒産は、97年の日東興業(負債総額3455億円)、今年2月のスポーツ振興(同2800億円)に次いで3番目となる。もっとも預託金の額は3200億円のうちわずか290億円。日東の10分の1程度しかない。これはもともと地産はビジネスホテル経営が本業で、マンション分譲、ビル賃貸といった不動産事業、霊園事業も手がけている上、地産のコースは大半が昭和30年代から50年代までに開場しているので、コース数の割に預託金が少ないという事情があるためだ。

 実際、倒産原因は預託金問題ではないようだ。同社発表の会員への文書によると、「バブル期に銀行からの借入で株式投機に走ったが、バブル崩壊で買った株は軒並み暴落、巨額の負債だけが手許に残った。創業オーナーが個人資産を提供したりしながら銀行と交渉してここまで来たが、計画通り返済は進まなかった。そこへ、債権者が債権を第三者に売却する動きが出た」ということになる。

「地産は、というよりは地産の創業オーナーだった竹井博友元会長は、株の買い占めで上場会社を次々と傘下に収めた他、33億円もの脱税容疑で逮捕されたりで、証券市場では大変な有名人だった」(証券関係者)

 典型的なバブル型企業の倒産ということになり、預託金以外の、つまりゴルフ場経営に直接関係ない投機の問題で破綻したわけだが、気になるのは会社側が指摘している「債権者が債権を第三者に売却する動きに出た」という部分だ。債権を買った所が返済を迫るなり、法的手続きを求めるなり、何らかの動きを起こしたからこそ、更生法という事態になったことが推測される。どこからどこへ売却され、何が起きていたのだろうか。

 同社では「公表している内容以外の話はできない」(同社広報担当)とし、事情を聴くことはできなかったが、各コースに設定されているおびただしい数、金額の担保の状況を見ると、ここ2~3年の間に変化が起きていることがわかる。

 例によって横文字名の企業もいくつか登場するのだが、注目に値するのは(有)エー・ディー・エル・ワンという会社だ。この会社、同グループの看板コースともいえる岡部チサンCC(埼玉)の敷地の一部に、に興亜火災海上保険が設定していた合計で57億円の担保を今年4月に譲り受けているほか、2年前の平成12年9月にも、チサンCC銭函(北海道)に同じ興亜火災が設定していた担保を譲り受けている。同コースについては、破綻した千代田生命が設定していた担保を昨年4月に取得している(有)ジー・エー・シー・ファイナンスという会社もエー・ディー・エル・ワンと同じ住所だ。このエー・ディー・エル・ワンの代表者は、ゴールドマンサックスグループの債権回収会社、(株)港債権回収の代表と同じ人物であることから、あのゴールドマンサックスが買収に動いている可能性も考えられる。

 チサンCC黒羽でも住友系のいずみコーポレーションが設定していた担保を今年4月に取得しているリンデン・ウッド・リミテッドという会社の住所は港債権回収と同一。

 ゴールドマンサックス側は「公表していないことは答えられないので、地産のスポンサーに名乗りを挙げるつもりかなども含めてノーコメント」としているが、日東興業、スポーツ振興に続き、地産にも食指を動かしている可能性は極めて高い。

 地産の保全管理人に就任した内田実弁護士は、会員宛ての文書で「年会費を納めていただければ、プレー権は従前通りとする方針」とし、誰がスポンサーになるにしてもプレー権維持を条件に詰める方針であることは間違いないと見てよさそうだ。

 前出の案内文によると、ゴルフ部門では利益を計上していたとし、同グループでは預託金問題も抱えていない。バブル期にゴルフ場開発に乗り出し、本業を潰した所は多いが、今回はゴルフ場経営が巻き添えを食った格好になったようだ。

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