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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/13号
2002年更新
民事再生の日東興業が債権者説明会開催
会員からはGSの運営方針心配する声続出
 97年暮れの和議申請に続き、会員には、またしても“寝耳に水”の民事再生法申請。それからわずか4日後の7月19日、日東興業グループは東京、名古屋で会員説明会を開催。東京会場の渋谷公会堂には、金曜日の午後1時という時間にもかかわらず、1000名近い会員が集まった。和議申請当時、会社側への抗議活動が盛んだった同グループの会員だが、4年半経った今でも再建への関心は強いようだ。

 説明会では、まず日東興業グループ12社の鎌田隆介社長が今回の経緯を説明。和議申請直近にはグループ30コースで167万人だった年間入場者が138万人に減少。客単価も1万5000円から1万2000円台に落ち、年間売上も264億円から174億円に減少した窮状を説明。その上で2013年まで続く金融機関への協定弁済、さらに同年から始まる年間10億円を限度とした抽選方式での会員への預託金返済といった和議条件の履行は困難だとし「民事再生に切り換える方法こそが真の会社再建」だと訴えた。

 最初こそ静かに聞いていた会員だったが、「(来年早々に提出が予定される)再生計画案が否決されれば、民事再生手続きは廃止、破産手続きに移行し、会員権は紙切れと化しゴルフ場は荒れる。川奈のようにパブリック化する可能性もないわけではない」との申立代理人の発言に対し、会員からは「その言い方は脅しだ」「あなた方のやっていることは会員の方を向いていない」「スポンサーであるゴールドマンサックス(以下GS)の利益だけを考えたもの」など厳しい意見が相次いだ。

 昨年12月に日東興業の支援を決めたGSは、投資した資金の回収については中期的(5年を目途)に、上場によるキャピタルゲインの獲得を目指すと明言している。その投資額については未公表だが、株式の買取額は全負債を引き継ぐことを条件にタダ同然で取得しており、現時点では、これまで金融機関から債権を買い取る(全金融債務の7割)のにかかった120億円前後ということになるだろう。上場するための最低条件となるのが、グループ12社の連結決算ベースでの債務超過の解消だ。平成14年6月末時点で、負債総額は4269億円、1871億円の債務超過状態に陥っている。そのため、今後提出される民事再生計画案では全負債のうち2641億円を占める会員から集めた預託金債務を大幅に圧縮するものと思われ、95パーセントカットという噂も流れている。

 こうした筋書きに対し、緑野CC(群馬)の会員で、和議申請時、会員の全国組織の事務局長を務め、和議成立後は監督委員も務めた深堀浩二氏は「到底納得できない」と反発する。

「会員代表として就任した田中健夫前社長は、我々や一般紙の取材にも『新たな法的手続きはない』と明言していた。また、GSは1月から全国の理事会、監督委員会にも諮り、預託金返済に200年以上かかる和議よりも民事再生の方がいいとの理解を得られたと言うが、そもそも会員から『200年以上かかる預託金をなんとかしてほしい』などという声も出てないし、合意書の破棄についても、和議履行が条件だったはずだ」

 ここで言う合意書とは、日東興業が、和議を成立させるために会員代表との間で交わした「和議条件を守る」ことを約した公正証書のこと。田中前社長の「違反することはないから」との強い要請に応じる形で破棄されたとされるが、これが事実とすれば、当時、複数の候補の中からスポンサー選定の作業に入っていた日東興業にとって、GSへの全株売却の障害になっていたのが、この合意書だったのだろう。

 深堀氏は、GSがスポンサーに決定後の今年1月、任期満了を理由に監督委員を“辞任”しているが、同じく“退任”した緑野CCの竹内幹哉氏は、説明会で展開された「外資の手先」、「計画的再倒産」といった会員からの感情的な発言について、次のような警鐘を鳴らす。

当時、預託金債権を全額守る条件で和議に賛成した会員の怒りは当然。毎度ながら会員に“寝耳に水”の会社のやり方には問題はある。だからこそ、ここは冷静な議論が必要ではないか。まだ再生計画案が出るまで時間があるし、各クラブの理事会も会員の意見を集約し、どうしたら少しでもいい条件を引き出せるかを考えていくべきだ。これまで緑野で会員総会を開いても40人ほどしか集まらない状態だったが、今こそ会員が、理事会が自分たちの問題として真剣に考えるべきだと思う」

 債務超過解消の方法は、何も預託金債務圧縮だけが方法ではない。会員の預託金をカットするにせよ、上場を目指すなら、残額を負債ではなく資本に組み込み、事実上の最大債権者である会員を株主にし、会員にもキャピタルゲインの得られる方法だって考えられるはずだ。

 基本的に、会員がプレーに来なくなれば売り上げが落ちて日東興業側も困るはず。健全な再生のためには、一方的に会社側の案を推し進めるのでなく、話し合いのもと会員の信頼を取り戻すことが急務だろう。今回の説明会でも、会員の強い要請で最後に渋々登場、形だけの挨拶をしたGSのスタッフ。なかなか“顔”が見えないGSがもっと前面に出てきて、「すぐに転売してしまうのではないか」等々会員が抱いている不安を拭うことが望まれるのだが……。

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