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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/30号
2002年更新
チケット泥棒、偽造チケット……、今年の
マスターズでは入場券を巡る犯罪が頻発
 泥棒がいて、偽物づくりがいる。そして、それを扱う国際シンジケートまで出来上がっている? もちろん、マスターズの入場チケットの話。地元アメリカではテレビの視聴率ではツアー全試合中つねにナンバー1の座を維持しているマスターズ。しかし、たとえば、10番ホールの打ち下ろしが、まるでスキー場のような傾斜になっているといったようなことは、コースを実際に見た人間にしかわからない。今年は大規模なコース改造も手伝って、しばらくマスターズを見ていないゴルフファンまで集まったとかで、チケットが例年以上に高騰したようだ。

「練習ラウンドのチケットで、300~500ドル。本戦の入場バッジだと3000ドルが今年の相場かな。市場は過去数年では最高。よく売れているよ」と語ったのは、オーガスタナショナルGCに面したワシントンロードで、ダフ屋家業に精を出していた2人組みだ。しかし、こうなると、チケット絡みの犯罪も後を絶たなくなるもの当然。今年は、お金同然でもあるチケット狙いのホテル荒らしや、盗んだチケットを販売したダフ屋が捕まった他、偽札ならぬ偽チケットまで発見されているとか。

 オーガスタでは、ダフ屋の行為そものもは、禁止されているわけではないが(正確にはこの7月から公認されるが、現在は他州のライセンスで営業をしている)、厳しいルールがあり、違反すると即逮捕。たとえば、ワシントンロードでも、コースから850メートルほど離れれば営業できるが、交通の邪魔をしたり、道路上に出ると、検挙されてしまうのだ。

 今年は本戦前の火曜日に、この違反で2人の逮捕者が出たが、なんと捕まったのが、ドイツ人とアリゾナから来たダフ屋。マスターズのチケットを巡って、地元だけではなく、国際的な人脈ができていることが、図らずもわかってしまったというわけだ。

 これに先立って、マスターズウィークの月曜日には、州外からやってきているマスターズの観戦客を狙った泥棒が捕まっている。日曜日の深夜に客が外出するのを待って、ガラスを割ってホテルに侵入した疑い。地元警察のT・ワルデン部長刑事に言わせると、「容疑者は27歳の大工。チケットを盗んで、友人のチケットブローカーに350ドルで売るつもりでオーガスタにやってきていた」ということで「チケットを所有している観光客は、ホテルに着いたらまず金庫に預けるようにしてもらいたい。そして、車で移動するときには、車の外から見える場所には絶対にチケットを置かない。チケットを購入したら、チケットの番号を控えておくように」といった注意を促すほど。

 考えてみれば、マスターズは1960年代の前半までは、売れずに困っていたこともあったという。A・パーマーやJ・二クラスの活躍によってチケットが売れ始めたのだが、そのためもありかつての苦労を忘れずに、パトロンを大切にし、72年からパトロン(入場者)のリストを締めきり、ウェイディング・リストを作るようにしたのだ。

「昔のことを考えれば、本当に大きく変わった。今では、マスターズのチケットのためなら、何でもする人たちがいる」と地元企業オーナーのH・プラット氏は語るが、こうした歴史が、今のマスターズチケット事情を生んでいるのだ。

 先述の通り、チケットブローカーたちは、例年にないビジネスと色めき立っていたが、T・ウッズが初めてマスターズに優勝した97年には、本戦のチケットが、5000~7000ドルとも言われていた。それに比べれば今年はまあまあといったところか。

 さらに今年は、アメリカ国内では、テレビの放送時間も拡大された。

 例年「長年マスターズを支えてきたパトロンの特権を尊重するため」アウト9ホールはテレビ中継がなかったが、今年からスポンサーの要望などで最終日、放送時間枠を拡大、全ホールの中継となっている。そんなこともあってか、水曜日、午後2時近くになっても、まだ練習日のチケットを手にしたダフ屋が少なからず立ち並んでいたのだから、噂ばかりが先行して、実際にはさほど売れているわけではないのかもしれない。むしろ、儲かるという噂が犯罪を呼んでいるとも考えられないことはない。

 闇屋の仕事だけに、実際のマーケットも闇の中ということか。

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