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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/19号
2002年更新
会社更生法申請から1カ月のスポーツ振興
「会員向け説明会は開催予定なし」の理由
 業界に衝撃を与えた業界大手、スポーツ振興の経営破綻だが、会員に対する説明会開催の予定がないことが明らかになった。

 整理回収機構(RCC)が、同グループの会社更生法を申し立ててからほぼ半月後の2月13日、14日の両日、保全管理人の田原睦夫弁護士が、納入業者と金融機関を対象に、東京、大阪で説明会を開催したものの、会員向け説明会の開催予定は今後もないというのだ。

 そもそも更生法や民事再生、破産などの法的手続では、法律が定めた、裁判所主催で開催される債権者集会とは別に、会社が自発的に申立直後に説明会を開くことはほぼ常識化している。日東興業の和議申立ての際も、会員向け説明会は地域ごとに数回にわたり開催されている。

 にもかかわらず、会員向け説明会を開催しない理由を、田原弁護士は「まずコースごとに会員のデータ管理状況に差があり、会員の連絡先、債権額等の正確な把握が困難であること。また、それらが把握できたとしても、莫大なコストをかけて会員説明会を開催することが、会員を含めた債権者の利益に沿うとは思えないからです」と説明する。

 たしかにスポーツ振興の会員数は6万人とも7万人とも言われ、会員の種類も一般会員に加え、共通会員権も存在するなど多岐にわたり、正確な会員数や預託金債権額が把握できないのも当然といえるかもしれない。

 現在、田原弁護士らが各コースを回って確認作業を行っているが、その作業に「約2~3カ月かかる」(田原弁護士)ため、当面は「説明会開催に代わるものとして説明文書の送付を予定」(田原弁護士)している。

 説明会がないとすると、今後会員たちはどうなるのか?「ゴルフ場として再建する以上、担保を付けている金融機関との交渉は外せないが、担保すらない会員と交渉の余地はない。会員に対しては更生計画案を作って、裁判所主催の債権者集会で賛否を問う、というシンプルなやり方で割り切るのでは」(倒産案件に詳しい都銀回収担当)。

 有無を言わさず計画案を突きつけ、イエス、ノーどちらかを選べ、ということなのだろうか。

 今回、保全管理人の田原弁護士は当面コース運営に必要な商品を納入し続けてもらわなければならない納入業者と、担保権を持ち計画案の認否上ウエートが高い金融機関という、手続上絶対に交渉が必要な相手にだけ説明会を開いている。本来、会社側が会員に謝罪の場を設けないのは筋に反するだろうが、この種の会員向け説明会は往々にして、旧経営陣の謝罪と会員のガス抜きの場でしかないのが現状であるのも事実。説明会を開催する金があるなら返済に回す、という理屈もわからないではない。

 また、「自ら和議申請した日東興業の場合は当然準備も整っていただろうが、今回はRCCによる申立で、自発性に乏しく、準備も覚悟もしていなかったはず」(前出・都銀回収担当)。

 ゴルフ場問題に詳しいジャーナリストの田野辺薫氏も、「もともとスポーツ振興には大量会員の噂がつねに付いて回っていた。会員権の分割でも随分無茶をしていた。会員が正確に把握できていないのも当然だし、説明会の開催など実際に不可能。預託金額面も少額のところが多く、プレー権を残してくれれば、何が何でも説明会を、という要望も多くはないはず」と見る。

 気になるスポンサーについては「外資を含む数社からオファーが行われつつあることは事実ですが、現段階では極めて流動的で、候補先は開示できません」(田原弁護士)とし、会員の扱いについては「できるだけプレー権を保護する方向で検討したい」とし、プレー権維持は期待できそうだ。

 およそ2、3カ月で更生開始決定が出る予定だが、結束して、何らかの対抗策を打ち出していかない以上、会員たちはこのまま黙って行方を見守り、債権者集会で更生計画案の認否に票を投じることでしか、意思表示をする機会はないことになる。

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