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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/5号
2002年更新
“当面据置期間延長”“過激な民事再生”
その中間を行く“永久債”への転換の可能性
 佐用ゴルフ倶楽部(兵庫)を経営する千種川レクリエーション(株)が、会員に対し、現在の会員権を“永久債”へ転換するよう要請した。あまり聞き慣れないこの“永久債”とは?

 ほんの数年前までは和議、民事再生などの法的手続きに対する会員のアレルギーは大変なものだった。そのため、償還対策としては、理事会決議で預託金の据置期間を延長する“先送り型”が主流だった。それがこの数年ですっかり感覚が変わってしまい、今では民事再生という法的手続きでバッサリと会員の預託金債権をカットする方法が主流になっている。ただ、それでも法的手続きは、やはり“劇薬”。そこで“劇薬”と“安易な先送り”の中間を行く方法として、一部のコースで2年ほど前から使われているのが“永久債への転換”である。

 簡単に言うと、永久債とは、会社が解散、清算するときまで返済しなくていい債権。会社が解散、清算するときに、残った資産(十分にあるかどうかは別にして)を処分した代金から、株主より優先して配当を受けられる点で、永久債の債権者は株主よりは若干有利になる。

 会員にとっては預託金を請求する権利を(ほぼ)失ってしまう法的手続、あるいは請求する権利を失う代わりに株券をもらう株主会員制に次ぐソフトランディング型の方法といえる。

「株主会員制は一見会員の意志が経営に反映される民主的で理想的な制度に見えるが、実際には経営に必要なリーダーシップの欠如を招き、かえって経営を混乱させてしまう恐れもある。永久債なら経営者のリーダーシップを残せる」(千種川レクリエーションの顧問でゴルフ場問題に詳しい西村國彦弁護士)。

 ただ、永久債への転換は、会員に対する強制力はないので、完全に移行するには地道に会員を説得していく必要がある。これまでにましこロイヤルGC(栃木)、やさとロイヤルGC(茨城)、オホーツクCC(北海道)、奈良柳生CC(奈良)などが永久債化を試みているが、100パーセント会員の同意を得ているのはオホーツクCCのみ。やさとロイヤルGCでも8割の同意を得るのに約2年半ほどかかっている。ちなみに奈良柳生では5割強の段階で民事再生申立を行っているが、再生計画案の中に永久債化を盛り込む考えだ。

 今回の佐用GCでも、地道に説得していくことになるだろうが、「多くの会員にとっては、一部の強行な会員によっていつ返還請求訴訟を受けるかわからない不安定な経営状態を改善できるのだからメリットは十分にある」(西村弁護士)という。

 債権がカットができてしまう民事再生が主流になると、永久債化は中途半端な印象さえ受けるが、会員は果たしてどう評価するのだろうか?

 ゴルフジャーナリストの田野辺薫氏は、「永久債型の会員権は、新規募集で導入しても誰も買わないだろう。経営会社が潰れるよりはマシ、という選択肢の中ですでに負っている負債の処理のために使う方法。先送り型、民事再生によるカット型、そしてこの永久債型のどれが、市場で評価されるかがポイント」と解説する。

 この永久債への転換方式が、民事再生を凌ぐほど預託金対策の主流になるとは考えにくいが、奈良柳生のように、民事再生の再生計画案に盛り込む方法での採用は考えられるだろう。

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