H・アーウィンデシャンボーのプレーにゴルフの未来を憂う
 

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週刊ゴルフダイジェスト 2020/10/13号
2020/10/19更新

H・アーウィン
デシャンボーのプレーにゴルフの未来を憂う

 ブライソン・デシャンボーの全米オープン優勝はこれまでのゴルフの概念を覆したという意味でも反響を呼んでいる。

 今回と同じウィングドフットで74年に全米を制覇しているヘイル・アーウィン(75)もまたデシャンボーの圧勝を「素晴らしい圧巻のパフォーマンス」と賞賛したひとり。だが内心は複雑のようだ。

「一番驚いたのはフェアウェイをキープしようという意識がいまの選手にないこと。われわれの時代はフェアウェイキープがすべてだった。さもなければ手痛いペナルティを払わされたからね」

「ラフは昔と同じで深かった。それでもラフにつかまりながら皆涼しい顔でグリーンを狙っていた。まるで(ティショットの)正確性など眼中にないといった様子。ゴルフの2大要素は飛距離と方向性。いまや方向性の比重は飛距離の足元にも及ばない」

 レギュラーツアーで20勝、チャンピオンズツアー最多の45勝を誇るレジェンドは最新テクノロジーを味方に戦ってきた。「それにしても限度がある。限度がなければ綿々と受け継がれてきたゲームの伝統がここで途切れ、別のものになってしまう気がする」

 ボビー・ジョーンズがいてベン・ホーガンがいた。そのレガシーをジャック・ニクラス、そしてタイガー・ウッズが継承した。「この繋がりが切れてしまうのは耐え難い」

 デシャンボーのプレーは素晴らしかったが、ラフであろうとお構いなしに飛ばし全米オープンの概念を変えてしまった彼のスタイルを「このままではゴルフが違うゲームになってしまう。自分に名案や正解があるわけじゃないが、ゴルフの未来をどうすべきか、皆で真剣に考える時がきていることは確か。いまのうちに議論すべきだと思う」

 セオリー度外視のプレーを解説の丸山茂樹も「よくわからない」と表現した。「この飛距離は生身の人間の努力の賜物」とデシャンボーは言う。今後も議論は続きそうだ。

  
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