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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 7/6号
2010/6/25更新

3つめの心臓で全米オープンを戦った
奇跡の男コンプトン

 今年、ぺブルビーチGLで行われた全米オープンに奇跡の男と呼ばれている人物が出場していた。その男の名はエリック・コンプトン。過酷な全米オープン予選会を勝ち抜いて本戦出場の権利を獲得した30歳の選手である。

 この男がなぜ奇跡の男と呼ばれるかというと、彼は現在3つ目の心臓を使用中なのだ。最近ではほんの2年前に移植手術を受けたばかりである。

 コンプトンは幼い時に『うっ血性心筋症』という、原因不明の心筋疾患を患った。この病気、心室筋の収縮障害、心臓のポンプ機能低下、やがては心不全症状を起こし、さらに心不全治療抵抗性となり、強心薬や利尿薬なども効かなくなり、最終的には死に至る重い病気なのだ。

 幼少期は身体も弱く、定期的に嘔吐し、失明の危機にもさらされたという。

 コンプトンは12歳の時に、初の心臓移植手術を受けた。決して強い体ではなかったが、術後の経過もよく回復に向かった。そして、以前からやっていたゴルフを再開すると、彼はまたたくまにトップアマチュアになり、スカラシップ(奨学金)で難関のジョージア大学に入学したのだ。ジョージア大学といえば、今田竜二がいた大学でもある。年齢も近いことがあり、2人は同じ時期をゴルフ部ですごした。

 しかし、アマチュア時代は輝かしい活躍をしたコンプトンだが、2000年にプロ入りしたものの、プロの世界では簡単に成功はできなかった。ミニツアーやカナダツアーを転戦しながら、生計をなんとか立てていた。

 そんななか、2007年に再び体に異変が起きた。心臓発作が起こってしまい新しい心臓が必要となったのである。その後2度目の心臓移植手術が行われたのだが、信じられないことにコンプトンは、術後半年で、ゴルフコースに戻ってきた。

「私は自分が新しい心臓を見つけてコースに戻ってこられると確信していました。誰もが夢を持つべきです。私は幼いころから夢は叶う、と信じ続けてきました。また今、苦しい状況に立たされている子どもたちがたくさんいます。もし私ががんばっている姿を見て、少しでも勇気になってくれたら、これ以上の喜びはありません」

 多くの選手が栄光、名誉、賞金のために戦っている華やかな舞台の裏で1人、毎日40種類の薬を飲みながら今日一日ゴルフが無事にプレーできることを祈っている選手がいる。

 今回の全米オープンには、過去2度の心臓提供者の家族も招待したそうだ。プロである以上結果は大事だが、それ以上にゴルフというスポーツが引き金となって大きな感動ストーリーが生まれた事実を大切にしたい。

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