週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

　非の打ち所のないスウィングをする石川遼だが、フォローからフィニッシュで左人さし指が伸びている点に疑問に思っている人はいるはず。実はこれヘッドが走って飛距離が伸びるだけでなく、クラブの動きを制御しやすくするメリットがあるとプロコーチの永井延宏氏は言い切る。

フィニッシュで指を伸ばすのがこれから主流になる？

「フィニッシュで石川選手の左人さし指が伸びるのは、彼が左手のグリップを中指と薬指の2本だけで握っている証拠です。

　石川選手のグリップは、左手人さし指と右小指を絡めるインターロッキング。そのため、左人さし指と右小指はグリップにほとんど触れていないことになります。クラブを素直に動かすためには、左手の薬指と中指の2本でグリップを握る感覚が重要だといわれていますが、石川選手も左手の薬指と中指の2本でクラブを支え、スウィングをリードしているから、使っていない人さし指が伸びるのでしょう。この左人さし指を見ると、左小指にも力を入れていないはずです」

　ゴルフのグリップに左小指はいらないと、ベン・ホーガンはいう。人間の体の構造上、小指に力を入れると全身に力が入りやすくなると言われるが、ゴルフのスウィングでも、左小指を強く握ってしまうと、体が硬直してスムーズなスウィングができなくなる。

　小指と人さし指を使わないことによって、クラブを高いレベルでコントロールできているのだろうと推察できると永井コーチは言う。

　ゴルフスウィングにおいて、力まず、クラブに振られるような感覚でスウィングすることは重要だ。自分の力に頼らずに、重力や遠心力を最大限利用することによって、ヘッドスピードが上がり、軌道もスクェアになりやすくなる。これは力のないジュニアなら自然にできていることだが、筋力がついた大人にとっては実践するのがなかなか難しいもの。

　最後に永井コーチは、
「石川選手は、体は大人になりつつあるものの、クラブを扱う感覚はジュニアの利点を残したままスウィングできているのでしょう。その証拠が左人さし指です。ピンと伸びた左人さし指は、クラブを素直に動かしてやるための無意識の動きなんだと思います。そこが石川選手の天才たるところなのかもしれません」

　童心にかえって、一度試してみてはいかがだろう。