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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 12/30号
2008/12/18更新
ヤマハがダイワと「シャフト」で提携
同業ライバル会社が手を結んだ経緯は?

 ライバル企業同士が手を結ぶいわゆる同業提携は、製造業や運輸、流通などさまざまな業種で広く行われてきたが、ゴルフ用品業界ではほとんど例がなかった。そのタブーを破ったのは、『インプレスX』シリーズの大ヒットで、いま一番勢いのあるヤマハ。ダイワ精工とシャフトで提携した経緯に迫った。


新しい流れの先駆者になるか? (ロッディオを装着したインプレスX4・6Vr・p・m)

 商品の付加価値を高める目的でクラブメーカーが導入してきたカスタムシャフト。しかし現在では、ラインナップがほぼ横並びでライバルに対する優位性は失われている。そこでヤマハが打った手が、同じクラブメーカーであるダイワ精工の『ロッディオ』を採用する同業提携だ。

「アマチュアゴルファーからの要望があり、テストしてみたところ、性能も品質も非常にいいことがわかりました。リストターン向きとボディターン向きの両方が揃っていてフィッティングで結果が出しやすいことも採用の理由です」(ヤマハゴルフ事業部・土田厚志氏)

 ヤマハとダイワ精工は、ゴルフ事業の売上げでほぼ互角、こだわりの強いゴルファーという顧客層でも真っ向からぶつかるライバル同士。敵に塩を送ることにもなりかねないが、「シャフトで競合しているわけではなく、それより顧客のニーズを優先した」(土田氏)結果という。

 その背景には、カスタムシャフトの需要の裾野が広がり、ドライバーの販売に占める比率が高まっていることがある。

「カスタムシャフトといえば、以前はXだったり重量のあるものだったり、ユーザーが上級者に限られていましたが、最近は100前後の人や非力な人もいて、軽いシャフトのニーズも増えています

 同社では、この11月末にニューモデルを発売してからわずか2週間で、カスタムシャフトの受注本数が、昨年1年間の2倍に達したという。

「利益率はそれほどよくはないが、カスタムシャフトが売り上げ全体の底上げに貢献しているのは間違いない」(土田氏)

 冒頭「タブー」という言葉を使ったが、ダイワ精工では、ロッディオを立ち上げたときから、メーカーのカスタムシャフト採用を念頭にマーケティングを行ってきた。

「第1号のヤマハさんに採用していただくまでに1年以上かかりましたが、ブランドを立ち上げてすぐにクラブメーカーさんにオファーをしました」(ダイワ精工ゴルフ営業推進部・坂口雅裕氏)

 営業活動を進めた結果、現在、話の進んでいるメーカーが数社ある。ただし、「やはりクラブメーカーとしての印象が強いせいか、先方の次期モデルのラインナップにも関わってくるので、一番大口の需要が見込める国内大手メーカーさんの門戸は開いていません」(坂口氏)

 しかし、今後流れが変わる可能性はある。

「シャフトメーカーとして見て、性能がよくてゴルファーにメリットがあれば検討する価値はあります。ニーズが多様化している時代ですから、業界活性化のためにもポジティブに考えていく必要があると思います」(ブリヂストンスポーツ広報室長・嶋崎平人氏)

 ただ、そうなるとシャフトメーカーは、リシャフト市場だけでなくOEM市場にも新たなライバルを抱えることになる。フォーティーンを買収して業界再編の一石を投じたダイワ精工が今度はシャフト業界に波を起こすのだろうか。

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