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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 10/7号
2008/9/25更新
ゴルフ研修の高校生打球事故
なぜ起きたのか、問われる監督責任

 研修に「安全」はついていなかったのか――。9月5日午後1時10分ごろ、茨城県常陸大宮市にあるロックヒルGCで東関東高校ゴルフ連盟の研修会に参加していた千葉県立泉高校1年の男子生徒(16)のドライバーショットのボールが、一緒にラウンドしていた同校1年の高畠健司さん(15)の顔を直撃した。あってはならない打球事故がなぜ起きたのか調べてみた。


マル印が被害者が立っていたところ。 ティグラウンドからは十分見えると思われるが……

 新聞などでは、男子生徒は意識不明の重体と報道されていたが、当初から意識はあり、傷の手当も終わり、精密検査のため入院中で面会謝絶だった。関係者によると、予断を許さない状況ではあったがほぼ危機は脱したという。

 ただ頭蓋骨折をしているので、修復まではなお時間がかかるという。

 この研修会には千葉県と茨城県の高校でつくる東関東高校ゴルフ連盟の13校から77人が参加、プレーをしながらルールやマナーを学んでいた。

 事故のあった組は、2人の生徒と引率指導の同校ゴルフ部顧問の男性教諭(48)の3人一組でマナーやルールを勉強しながら回っていた。

 事故現場は、同ゴルフ場レイクコース8番ホール、左ドッグレッグ、パー5のバックティで起きた。

 ドライバーショットを先に打ち終わった高畠さんは、クラブを戻しに、高さ1.6メートルのティグラウンドから左斜め約20度~30度前方17メートルの位置に置いてある2人のゴルフバッグのところに歩き出す。

 顧問の男性教諭はこれからドライバーショットを行う生徒の右背後に立っていた。このとき、教諭は高畠さんの動きに気づいていなかったのか。

 この生徒のドライバーショットが、クラブのヒール部分に当たりボールは左側の地面を這うように飛ぶ。この時点で17メートル先の自分のバッグのところにいた高畠さんの右の眉毛あたりを直撃、皮膚は裂け血が噴出した。すぐに救急車で病院に搬送されたが、意識不明ということではなく、しっかりと受け答えはできていたという。

 なぜ高畠さんは、これから打とうとする人の前にいたのか。この事故を知る人は皆不思議がる。現在、入院中のため本人から事情は聞けていない。当ててしまった生徒は「彼がどうしてあそこにいたのかわからない」と話したという。

 現場の状況を詳しく見ると高畠さんの立っていたところは、ティグラウンドから前方の低い位置になる。打った生徒にしてみると高畠さんの姿が見えなかった可能性はある。実際、高畠さんが見えなかったのか。

 しかし、ゴルフ場側では、「当たった場所にいる人が、見えないことはありえない。ティグラウンドからでもよく見えるはずだ」(岸光男副支配人)

 顧問の男性教諭は「安全だと思った。あの場所には(生徒は)行かないと思った」と言う。

 高畠さんはスコア70台を出すこともあり、当てた生徒は100を切れないレベルという。教諭は4年前に同校に赴任以来ゴルフ部顧問をしているというが、その技術レベルは「誰もはっきりとは認識していない」(学校当局)。

 現時点では損害賠償に発展するかは未確定だが、同伴プレーヤーより前にいて打球事故が起きた場合、当てた側より前にいた被害者に6割の過失責任があるとした大阪地裁判決が2005年2月に出されている。

 それにしてもルール・マナーの研修中に起きた事故。引率の教諭がいただけに、監督責任も問われるだろうが、きちんとした事故原因は明らかにされなければならない。

 打球事故の裁判で東京地裁は次のような判断を下す。「ゴルファーは自分の技量に応じて打球が飛ぶ可能性のある範囲を十分確認すべき義務がある」「打者の前に出ない」という大原則がなぜ守られなかったのか。

 誰もが「ありえない」という。事故をうやむやのまま終わらせてはならない。

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