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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 9/30号
2008/9/18更新
2週間もたたず英会話テスト規定を撤回
スポンサー数も減り四面楚歌の米LPGA

 8月下旬、米LPGAが決定した「外国人選手への英会話テスト不合格者はLPGAツアーカード剥奪」という方針が米マスコミや人権団体による大批判でわずか1週間で撤回された。その背景には米国の主要マスコミの一つ、ニューヨークタイムズ紙が「LPGAは間違っている」と批判したこと、さらにカリフォルニア州議会がLPGAを人権侵害で告発する動きがあったことなどが挙げられる。その顛末を追った。

 批判に直面したLPGA側の動きも早かった。

 キャロリン・ビベンス会長の名前で書簡を発表、「英会話テストで不合格になった選手に対するぺナルティ条項は削除する。罰金処分を含めて他の方策を模索する」ことを明らかにした。

 しかしぺナルティ条項を単なる罰金にするのか、あるいは英会話テスト自体を中止にするかについては年末まで言及しない方針のようだ。

 ニューヨーク在住のスポーツジャーナリスト、パトリック・クラーク氏は次のように言う。「韓国女子は米ツアーで2006年に10勝、今年もすでに6勝するなど過去数年間大暴れしています。その結果、米業界では不満が募っていたんです。反韓感情がさらに強くなったのは、韓国人選手に同行する両親の存在です。特に父親はグリーン上で娘にジェスチャーでラインを教えたり、パット練習場の横でビールを片手に酒盛りを始めたりしてマナーの悪さが指摘されていました。

 つまり白人社会では韓国人勢の傍若無人ぶりが我慢ならなかったのです。しかもマスコミで韓国人批判発言をしたステートファーム・クラシックを主催した保険会社が人種差別を助長する会社だと人権団体から攻撃されて、逆に企業イメージが悪くなってしまいました。「英会話問題」でここまで騒ぎが大きくなるとはビベンス会長も読めなかったのです」

 米LPGAのビベンス会長は数年前、広報業界からスカウトされてきた人物。それ以前には米国の全国紙として有名な「USA TODAY」の創刊メンバーとして頭角を現してきた。

 彼女の役割はいかにスポンサーを増やして利益をあげるかということ。彼女は就任後、LPGA史上初めて選手に対するドーピングテストを実施したり、LPGAのロゴの変更や組織改革を手掛けたりし、ゴルフ産業からの資金援助や投資を求めたりした。

 俳優の故ボブ・ホープ夫人から100万ドルの寄付を受け取るなどLPGAの利益拡大に野心的な人物だが、今回のドタバタ劇でミソをつけた形になった。

 前出のクラーク記者が続ける。

「ビベンス会長の狙いは金儲けになるイベントやミッシェル・ウィのような金を引っ張ってくる選手をできるだけ出場させることです。しかしサブプライム問題を発端として、スポンサーが激減しています。来年度はフィールズオープン、ギン・トリビュートは中止、セム・グループ選手権のスポンサー企業も破綻、このままでは来年度の続行も困難な状況で、最悪の場合には来年は5試合ほどスポンサーがおりる可能性もあります」

 このまま外国人勢が活躍すれば、スポンサー降板も加速する。となれば、米LPGAはますます窮地に立たされる。

 さてこの問題、どうなるか。

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