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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 9/9号
2008/8/28更新
コーチやトレーナーに化けた“にわか関係者”
が横行する女子ツアーの問題点

 世の中、入場が制限された区域に入るには“パスカード”が必要になるのは当たり前。ゴルフのトーナメント会場も例外ではない。国内女子(LPGA)ツアーでは、選手以外の関係者に何種類かの年間パス=「ツアーIDカード」を発行しているが、一部に悪用とも思える乱用が目立っているという。

 ツアー登録選手以外にツアーIDを所有できるのは、LPGA理事や事務局員、競技委員とメディア関係登録者、選手帯同コーチ、登録トレーナー、用具用品メーカー、トーナメント主催者など。これらは首からかけるリボンの色で識別でき、毎年更新制。シーズンオフに申請、ツアー開幕と同時に配布されることになっている。

 問題視されているのは、黄緑のコーチIDとピンクのトレーナーIDだ。他のIDと違い、この2種類は、ツアー登録選手とトレーナー個々からの申請で発行される。所定の申請用紙に必要事項を記入、提出し、LPGAが承認する形だが、そこに「コーチでないコーチ」や「トレーナーでないトレーナー」が存在する現実が生まれている。

 例えば、何人かの選手を抱えるマネジメント事務所の社長や社員がコーチやトレーナーに“化けて”いる。こうした人たちがパスカードを使って自由に会場内に出入りし、その特権を利用しているのだ。

 日本ツアーには、家族やマネジャー用の年間パスはない。その代わりに試合ごとの『ファミリーバッジ』が配布され、クラブハウス内に立ち入れるなど一般ギャラリーとは別格の待遇になっている。が、そのファミリーバッジは通常1選手につき2枚。しかも毎週受け渡しをしなければいけないため、ファミリー以上の特権があるコーチやトレーナーIDが重宝される。

 コーチIDを持っていれば、ドライビングレンジの打席内や練習グリーンの上、練習ラウンドのロープ内立ち入りも許され、選手にとっては、雨が降れば傘をさしてもらえるし、何かと用事を頼むのにも便利。ファミリーバッジは他の友人知人に回せるしといったメリットがあるのだ。

 ただ、そういうパスを使っていない選手にとっては、グリーンなどで人が多くなればそれだけ練習スペースも狭くなる。他人に気を遣うことも増える。ギャラリーにはなんでこんなに人がいるの、ということにもなる。

 コーチもトレーナーも、ID登録に必要なのは、1人当たり年間2万5000円の委託金(期限終了時に全額返却)と、わずか5250円の登録料。トーナメント上位で戦うような選手なら、苦にならない金額だ。

 ただし、近年は家族らを5人も6人もコーチとして申請する選手が出たために、今季から「1選手あたりコーチは2人まで」という制限はできたというが。

 実際に複数のコーチを持つ選手も、もちろんいる。しかし、いわゆる各自の“空き枠”を利用して、メンタルコーチやフィジカルコーチなどの名目で、ID発行を受けるのは悪質だ。申請の手続きをするのは、あくまでも選手本人とその代理人に近い者。

 しかし、先日誕生した新人プロたちもマネジメント事務所に所属することが多いため、その分増加した“空き枠”を悪用しやすくなる。

 LPGAはこのような悪質な申請に対しどう考えているのだろうか。

「申請の際、選手に確認しているが、このような事実があるならば調査の上、今後対応したい。マネジャーバッジも検討中です」(LPGA関係者)。

 自分自身が審判のゴルフ、そのプロフェッショナルの中に、嘘やごまかしをよしとする者がいるのは、何とも嘆かわしい。

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