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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/4号
2007/11/22更新
日本シニアでメーカーの社員が違反クラブで失格。
中嶋(常)、さくらが大慌て

 勇み足で優勝がスルリ? 11月7日(水)から9日(金)まで行われた日本シニアゴルフ選手権で、大会2勝目に向けて初日トップタイの好スタートを切った阪田哲男氏が、「適合ドライバーヘッドリスト」に掲載されていない新製品の『ザ・ゼクシオ』を使ったという理由で失格になった。


失格したのが阪田氏だっただけに騒ぎが拡大(左)、エリエールのさくらのバッグの中にはリスト入りのドライバーが(右)

 SLEルールの下で使用できるドライバーは、「適合ドライバーヘッドリスト」に掲載されたものだけ。

 言い方をかえれば、「リスト」に掲載されていないドライバーは、いくら反発係数が基準値以内に収まっていても使用できない。

 大手クラブメーカー、SRIスポーツ社員の阪田氏がこのことを知らないはずはないが、大会までには「リスト」に掲載されているはずという思い込みが、今回の失格劇を呼び込んでしまった。

「リスト」は毎週月曜日に更新されるが、クラブメーカーから提出されたヘッドをR&AまたはUSGAが計測し、「リスト」に掲載されるまでおおよそ約2カ月程度。

 SRIスポーツでは、過去の例から『ザ・ゼクシオ』が掲載される「Xデー」を11月5日と見込んでいた。

 しかし、実際のところR&Aはスケジュールを明らかにしておらず、いつしか予想が決定事項のように扱われていたのが事の起こり。

「記者発表でのお披露目も済んだ後だし、曲がらないクラブ。今年の日本シニアではぜひ勝ちたいと思っていたので、早くから使おうと決めていた」(阪田氏)

 そして、ニュードライバーの働きもあり、大会初日を2アンダー・70で終え、意気揚々と宿舎に引き上げたところへ「リストにまだ掲載されていない」ことに気付いた社員から連絡が入った。

 翌朝、阪田氏はJGAの競技委員にその旨を申告し、裁定を仰いだ。

 競技委員は裁定が決まるまでの措置として、プレーを続行するよう指示したが、結局9ホールを終了した時点で失格を告げられたというのが、事の真相。

「思い込み」の余波はプロにも及んだ。

「飛距離が出るし曲がらないので早く使いたい」と熱望していた横峯さくらと古閑美保も、同じ週の「伊藤園レディス」からニュードライバーを使う予定で調整を進めていた。

 連絡を受けて急遽それまで使っていたクラブに戻したが、横峯は上田桃子より下位に沈み、賞金女王争いにまったく影響がなかったとはいい切れない。

 また、中嶋常幸も「三井住友VISA」での解禁を待ち望んでいた。

「いままでで一番いいクラブ、シーズン途中でも替えたい」と褒めちぎっていただけに肩すかしを食った格好。

 ただ、プロの試合は女子が金曜、男子が木曜からなので失格という大ごとにならなかったのは不幸中の幸いといえる。

 ちなみに中嶋は、翌週の「ダンロップフェニックス」の練習日、エースドライバーの印である「TN」の2文字を自らヘッドにサインするなど、デビューにミソはついたもののクラブに対する信頼に変わりはない。

 選手以上に頭を痛めたのはSRIスポーツだ。

 れっきとしたルール適合品で、ただ「リスト」に載る前に試合で使用してしまった単純ミスにもかかわらず、当初「違反(高反発)クラブの使用が発覚して失格になった」とクラブ自体に問題があったと勘違いする記者もいて、担当者は打ち消しに追われた。

 なまじ阪田氏が初日トップになったために、騒ぎが大きくなった感も否めず、言うなれば、高性能が仇となってしまったわけだ。

 さらに、余波は思わぬところにも。

 フェースミーリングの目の粗さについて基準が明確化されたのを受け、ミズノがプロ支給ウェッジの自主点検を始めたところ、「今度はミズノがルール違反クラブ」という噂が一部で先行した。

 後付のルールに対して手を打ったことが、すわルール違反ととらえられてしまったわけで、2008年のルール改正を前に、ユーザー、メーカー、そしてメディアを巻き込んだドタバタはまだ続きそうだ。

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